県内で12台稼働している移動スーパー「とくし丸」。今年8月、県外から鹿島市に移住し、事業を引き継いだ夫婦を取材しました。
鹿島市で、移動スーパー「とくし丸」を営む齊藤孝一さんと妻のめぐみさん。
齊藤さんは32年間勤めた福岡県の郵便局を定年前に辞め、鹿島市に移住。
今年8月から、前任者が廃業したことに伴い、「とくし丸」の事業を引き継ぎました。
【とくし丸 齊藤孝一さん】
「たまたまYouTubeで『とくし丸』というのを知って、『こんな仕事があるんだ』って、みんなに感謝される仕事があるんだなと思って、やってみようと」
【妻めぐみさん】
「ヤングケアラーの仕事があるというのを情報で知っていて、こういう活動を子供が巣立ったらしようかと考えていた。とくし丸もお年寄りのボランティアが多い仕事だったので」
「とくし丸」は提携するスーパーの品物をトラックに積んで利用者に届けるサービスで、県内では佐賀市や唐津市などで12台が稼働しています。
安定したサラリーマンから個人事業主として働く齊藤さん。
売上の一部や販売手数料が主な収入源です。
【とくし丸 齊藤孝一さん】
「きょうは25軒くらいです。(けっこう多いですね)いやいや、25軒くらいが普通で、多い曜日で30ちょっとくらい」
【妻 めぐみさん】
「店も新しい商品をどんどん出してくるのでこういうの出ていますよと持って行って前のが無くなっているけど新しいのどうですか?と見せるとおいしそうって」
トラックには、肉や刺身などの生鮮食品から日用品まで、その数約300品目。
利用者から当日の注文もあり、朝から対応に追われます。
毎朝2時間ほど準備し、いよいよ出発です。
この日は、市街地から5キロ以上離れた山間部の住宅を中心に回ります。
【利用者】
「(運転免許)もう返納しました。もう10年になる。82歳で返してもう92だから」
利用者の平均年齢は80代。
運転免許の返納や病気など、様々な理由で「とくし丸」を利用しています。
【利用者】
「助かります。助かってます。もう最初からしようもんね。あなたたちで3代目です。本当もう免許証持たんやったらもうダメ。天と地ですよ」
齊藤さんたちは、火曜日から土曜日までの週5日、鹿島市内の利用者に商品を届けています。
【利用者】
「助かります。もう山だからね。ここ遠いでしょうが、町までね。大変だから」
【利用者】
「心臓の手術してからですね、ララベルも何も行けなくなりました。車も返したからですね」
【利用者】
「(生活には欠かせない存在ですか?)そうですね、来てくれるから本当にいいですよ。1週間に1回ね」
齊藤さんたちが利用者の元に滞在するのは10分ほど。
その間、何気ない会話を大切にしています。
【とくし丸 齊藤孝一さん】
「会話大事ですよね。会話しながら買ってもらう方が楽しいですし。私と話すのが1週間に1回とか、会った時にしか話さない方もたぶんいらっしゃると思うので」
【妻 めぐみさん】
「1人のお客様のところに配達に行くんですけど、近くを通っている方とか、お隣近所の方が音楽が聞こえたとか、車の音がしたり出てきてくださるんですね。『久しぶり』という会話がそこでお客様同士でされたりとか楽しそうに話しながら買い物をされているのを見るといいコミュニティだなと思って」
買い物弱者とされる高齢者に商品を届けるだけでなく、「選ぶ楽しみ」を提供する役割やコミュニティを生み出す役割も。
縁もゆかりもない地で奮闘する齊藤さん夫婦は地域にとって無くてはならない存在になりつつあります。
【とくし丸 齊藤孝一さん】
「まだもうちょっと回れる余裕があるので本当に買い物に困っているお客様はぜひ一報をいただければなとは思っています。もうちょっと広げてたくさん貢献できたらなと思っています」
【妻 めぐみさん】
「ずっと続けてねって言ってくださる方もらっしゃるし。私たちもお客様にこれ大丈夫ですかとかそういう気づいてあげる、助けになっていると思ってもらえるとうれしい」
