20日、気象庁が発表した3カ月予報によりますと、過去最強の状態でエルニーニョ現象が続き、地球温暖化の影響もあって、全国的に平年よりも気温が高くなる見通しです。
一方、海外では大雨による洪水が各地で発生し、多くの人が訪れる世界遺産にも影響が及んでいます。
こうした異常気象の原因とされるのが、海面水温の上昇による海の異常な高温です。
これから真冬にピークを迎える中、どのようなことに注意が必要なのでしょうか。
ごう音とともに流れ落ちる濁流。
異変が起きていたのは、南米アルゼンチンとブラジルにまたがる世界遺産・イグアスの滝です。
落差80メートルほどの“悪魔の喉笛”と呼ばれる滝つぼなど、ダイナミックな光景が観光客に人気ですが、遊歩道の一部が閉鎖に。
水しぶきが上がり、本来の面影はありません。
訪れていた人からは「結婚する前、この滝に来たことがあります。その時はこれほど水がありませんでした」といった声が聞かれました。
ブラジル側の管理当局によりますと、12日、大雨の影響で水量が通常の8倍以上にまで増加。
このため、一部のエリアで出入りを制限するなどの予防措置を行ったということです。
一方、スペイン東部バレンシア州では、大雨による冠水で街一帯が茶色い濁流にのみ込まれました。
家の中に取り残された住民を、ヘリコプターを使って次々と救助していきます。
洪水による爪痕は深く、濁流に流されたとみられる車は折り重なるように放置され、住民たちは後片付けに追われました。
住民:
大惨事だ。また全てを失った。
大雨による被害は、同じくスペイン東部に浮かぶ、島全体が世界遺産のリゾート・イビサ島でも。
街は至る所で冠水し、スーツケースを持ち上げながら歩く観光客の姿もありました。
観光客:
ホテルに着いたとき、正面・キッチン・レストランも水浸しでした。
さらに、多くの人が見守る中、10人ほどの大人が懸命に押していたのは、海岸に座礁したヨット。
暴風雨の影響で傾いた船を、人々が総出で元に戻そうとしていました。
地元メディアによりますと、記録的な豪雨によってバレンシアでは少なくとも4人が死亡。
スペイン全土で一時、8万人以上に屋内退避命令が出ました。
アメリカ・カリフォルニア州では、秋の嵐の影響で道路が冠水。
走行する車が大きな波を立てながら進みます。
住民がカヤックやサップを使い、浸水した住宅街を行き来する姿が見られました。
住民:
ここに来て25年、満潮は見てきたけどこんなのは初めて見た。本当に信じられない。
さらに、自然の猛威による別の被害も。
広範囲に立ち上る白い煙。
山肌のあちこちに炎が上がり、山火事が拡大。
火の手は住宅地のすぐ近くまで迫り、家屋が炎に包まれます。
カリフォルニア州では、この時期“悪魔の風”と呼ばれる乾燥した強風が吹き、山火事が拡大する原因ともされています。
アメリカ海洋大気庁によりますと、近年の気候変動で、この風も地表付近の気温上昇と深刻な乾燥を引き起こすことが懸念されています。
こうした異常気象はアジアでも。
韓国・仁川(インチョン)では18日、大雨や強風の影響で教会の塔が倒れ、道路に落下。
その落下した瞬間を近くの防犯カメラが捉えていました。
画面左側、金属片のようなものが現れた瞬間、道路をふさぐように教会の塔が落下してきました。
目撃した人は「揺れ動いていたのが突然、前にドンと落ちてきたんです」と話します。
目撃者によりますと、幸い周囲に人はおらず、けがをした人はいなかったといいます。
さらにソウルでは、10月の降水量としては観測史上最多となる1時間に35.1mmの大雨が降りました。
世界各地で起きている異常気象。
専門家は、海面水温の上昇による異常な高温が要因の1つだと指摘します。
三重大学大学院・立花義裕教授:
ほとんどあちこちの異常気象、多くはスーパーエルニーニョ現象と地球温暖化の両方がかけ合わさっているということで説明できると思います。広い太平洋の南米沖ですね、ペルー沖の海面水温が異常に高温になることをスーパーエルニーニョというんですが、観測史上一番高温です。そこが一番高温なんですが、南米のペルー沖だけではなくて、太平洋ほぼ全域の海面水温が高温になっている。高温の水からはたくさんの水蒸気が出るので、水蒸気が多くなって雲が発達する。それで豪雨が降ります。太平洋の広い範囲で水温が高いから、その影響が全世界にいくというわけですね。
さらに、この現象は今後強まっていき、これからの時期にピークを迎えるといいます。
三重大学大学院・立花義裕教授:
今のところはますます強まってます。高温化に拍車がかかっているので、ピークはまだ来ていませんから、真冬になるとピークになる。
気象庁の3カ月予報では、この先、全国的に暖冬になる見通しで、降水量は太平洋側を中心に平年より多くなる見通しです。
スーパーエルニーニョ現象のピークはこれからということですが、生活にどんな影響が出るんでしょうか。
三重大学大学院の立花教授によりますと、海面水温が高い状態が続くと、雨や雪を降らせる雲が発達しやすく、全国で“ドカ雪”に注意が必要だといいます。
そして、ピークが過ぎても2027年春夏ごろまでは猛暑や豪雨に注意が必要だということです。
