先週、日本で暮らす外国人の数が428万人と過去最多になったことが明らかになりました。
移住の目的として、中国人を中心に最近増えているのが「教育」です。
し烈な受験戦争で、中学生の頃から寝る間を惜しんで勉強し、それでも受験に失敗することも多いという環境の中で、「ゆとりがある」という日本の教育を求める人が増えているそうです。
また大学卒業後も日本に残ることを希望するという留学生も増加しているといいます。
地価上昇にまでつながっているというこの現象を徹底取材しました。
■地価の高さと上昇率が大阪府内でトップに 大阪市天王寺区・真法院町
大阪市天王寺区の真法院町。多くの住宅が立ち並ぶのどかな地域ですが、9月に発表された地価調査の結果で、「価格の高さ」と「上昇率」が共に大阪府内のトップとなりました。
住民に話を聞くと「買い物も便利で、保育園も多く、子育て世帯はすごく住みやすい」と要因を語りますが、一方で違った背景もあるようです。
【住民】「保育園に海外の方がいらっしゃる。アジア系が多い。中でもちょっとお金を持っている、余裕のある人」
先週の法務省の発表で、日本で暮らす外国人は過去最多となる428万人になりました。
土地価格の調査に携わる鑑定士は、「教育目的」で移住してきた外国人が、真法院町の地価を押し上げていると指摘します。
【大和不動産鑑定 山内正己顧問】「日本の教育を受けさせたいという方が、経営管理ビザを使って家族帯同で来られる」
子供に日本の教育を受けさせようと、幼いうちから家族ぐるみで移住するいわば「教育移住」が、増えているというのです。
■「日本ではストレスがあまりない」と日本の中学校に通って2年の中国人
では、なぜ日本の教育は魅力的なのか。それは中国における「過酷な受験」が理由です。大学入試にあたる「高考(ガオカオ)」は、1290万人が出願し、し烈をきわめます。
真法院町の近くに去年9月開校した、在籍者の9割が中国人だという学習塾の王新亮塾長は、中国の受験について「例えば満点が790点のテストで730点取っても、普通の一般的な高校にも進学できない。それほど競争が激しい」と説明します。
日本で会社を立ち上げた両親に連れられて来日したA君は、日本の中学校に通って2年になりますが、中国の学校生活との違いに驚いています。
【2年前に北京から来日 Aくん(中学2年)】「日本ではストレスがあまりないです。中国(の学校)ではリラックスできません。朝6時に起きてご飯食べたら、学校に行きます。下校したあとはずっと宿題をして、夜の12時までかかるときもあります」
一方で、今は夜9時ごろに寝ることができ、自由な時間も増えているといいます。
■競争避け “ゆとりある教育”が日本の魅力
中国での取材を続けてきたジャーナリストは、こうした競争を避け、ゆとりある教育を受けられることが日本の魅力だと指摘します。
【中国人の移住に詳しい 舛友雄大さん】「中国は本当に経済的にも厳しいですし、社会の競争もどんどん激しくなっているので。
いろいろな意味で日本の方が楽といいますか、『潤日(ルンリー)』という言葉が象徴的だと思います。
もともと『潤う』という意味だったが、英語の『RUN』の発音と同じということから、逃げる・海外に移住するという意味を持つようになった」
■富裕層以外も日本を選択 留学生は10年前から3倍に
これまで富裕層を中心に進んでた日本への「教育移住」。取材を進めると、近年ある変化が見えてきました。
大阪・西成区で不動産業を営む人は「最近は中国人の子連れが多く、富裕層よりは中間層で、日本の教育をさせたい人が多くいます」と話します。
富裕層だけでなく中間層も、中国国内の激しい教育競争から逃れるために日本を選んでいるというのです。
需要が広がった影響に伴って、進学先も多様化しています。
大阪にある桃山学院大学の入試委員長・黒田隆之教授によると「(留学生の数は)約10年前から3倍になっている。そのうち9割が中国から」だと話します。
中国人学生の多くは、卒業後も日本での就職や進学を希望しているといいます。
【桃山学院大学入試委員長 黒田隆之教授】「日本の生活環境の良さが魅力的みたいで、できれば日本で就職して、日本社会でい生きていきたいという(学生は多い)」
全国の大学で中国人留学生は増えていて、少子化が進む中、受験生の確保の観点からも外国人の受け入れは重要になっているようです。
■「教育移住」の今後 中期的には増えるも将来的には落ち着く
人気が高まる日本への「教育移住」。今後も増えていくのでしょうか?
中国経済に詳しい近畿大学経済学部の呉准教授は「留学ブームはしばらく続くとは思うが、長い時間軸で見れば、円高や中国の少子化が進み、落ち着くと思う」と説明。
日本政府による在留資格の厳格化や、中国の少子化の進行で将来的には落ち着くのではないかとみています。
さらに、中国に詳しいジャーナリストの舛友さんは日本からの“再移住”も今後増えるとみています。
【中国人の移住に詳しい 舛友雄大さん】「最近は“『二潤(アールン)』=再移住”という意味で、日本だけにとどまらず、住みやすい国があれば、どこでも移りたいと。
(日本は中国人の)経済的なバイタリティーも見逃せないと思うので。光と影を見極めていく必要がある」
中国人の教育移住による環境の変化に、わたしたちはどう向き合っていくべきなのでしょうか。
(関西テレビ「newsランナー」2026年10月19日放送)
