山小屋の窓も割れ、壁には飛んできた噴石が食い込み、大きな噴石は頑丈な小屋の屋根を突き破った。
この噴火は、死者・行方不明者63人を出し、戦後最悪の火山災害になった。
しかし、富士山の噴火はこの規模ではすまないという。
吉村主幹研究員は「何桁も違う大きさで、富士山噴火の方が大きいです」と話す。
その猛威を物語るのが、1991年に約500年ぶりに噴火したフィリピン・ピナトゥボ山。5日間に及んだ噴火は、300年以上前の富士山・宝永噴火よりも数十倍大きい規模で、噴煙は最大約40キロ上空、成層圏にまで達し、甚大な被害をもたらした。
宝永噴火の痕跡には…
吉村主幹研究員が所属する富士山科学研究所には、宝永噴火の痕跡がいまも保管されている。
宝永噴火時の富士山近郊の火山灰はぎとり標本を見ると、当時どれくらい火山灰が積もったのかがわかる。

吉村主幹研究員いわく、「160センチくらいですかね」と標本を示した。
宝永噴火の16日間で、富士山近郊は最高3メートルの火山灰が積もったとされ、神奈川県の横浜あたりでも10センチ、千葉でも8センチ、積もったという。
火山灰は、火口から遠ざかると粒子がどんどん細かくなる。

東京大学で発見された宝永噴火の火山灰の化石を電子顕微鏡で見ると、鋭利で細かな粒子は水を含むとまとまりやすくなるため、吉村主幹研究員は「こういった細かい噴石があるだけで、水が適度に入ると粘り気が出てくる。そうするとスリップしやすくなる」と話した。
2011年1月に52年ぶりに噴火した鹿児島県新燃岳。高く噴き上げた火山灰は、市街地に積もり、航空・鉄道などの交通機関や農業・観光分野に大きなダメージを与えた。
富士山で爆発噴火が起こると、遠く離れた東京でも影響は避けられない。
大規模噴火が起きるとどうなる?
内閣府と東京都のシミュレーションでは、富士山で大規模噴火が発生すると、噴煙が約20キロ上空まで上がり、西南西の風が吹くと、火山灰が東京方面へ。約1、2時間で横浜に、さらに約2、3時間で新宿に到着する。

