9日、発表されるノーベル平和賞、受賞有力候補としてICC=国際刑事裁判所が挙がっています。所長は赤根智子さん、名古屋市出身の70歳です。
今年7月、トランプ政権から制裁を受ける直前に、地元・名古屋で凱旋講演をしていました。そこで語った法の支配への思い、そして教え子らが明かす素顔とは。
(リポート)
「毎年ノーベル平和賞を予想しているノルウェーの研究所のHPですが、今年の有力候補に『ICC』を挙げています」
ICC=国際刑事裁判所は、オランダ・ハーグに本部を置く常設の裁判所。国際法上の戦争犯罪などの疑いで、これまでにロシアのプーチン大統領やイスラエルのネタニヤフ首相に逮捕状を出してきました。
赤根智子さん:
「世界において、不処罰をなくす」
所長の赤根智子さん(70)。名古屋市出身で、2024年から日本人で初めての所長を務めています。
アメリカのルビオ国務長官:
「ICCは国際法などの力を使い、アメリカに戦争を仕掛けている」
今年8月、トランプ政権がアメリカ兵の戦争犯罪に対して捜査をするICCを、「反米的で邪悪な者たちからなる裁判所」などと批判し、赤根所長らを経済制裁の対象に。
その直前の今年7月、かつて教鞭をとった名古屋大学に凱旋していた赤根さん。
赤根智子さん:
「記者さんたちに囲まれて『(ロシアから)逮捕状を出されて怖くないですか』と30回くらい聞かれて、私も少しイラっとして、『裁判官は1人死んでも代わりはいくらでもいる。私たちの使命は、そんなことでくじけるものではない』と」
赤根さんは、1975年に旭丘高校を卒業すると、東京大学法学部を経て検察官に。その後、検察庁から派遣され、地元・名古屋大学などのロースクールに赴任していたこともあります。
社本洋典弁護士:
「赤根先生はすごく熱心で面倒見がいい方で」
そう語るのは、赤根さんのロースクール時代の教え子で、弁護士の社本洋典さん。今年5月には、教え子たちでヨーロッパの赤根さんを訪ねたといいますが…。
社本洋典弁護士:
「赤根先生に教わっていた授業の答案の話をされていて、『社本君は普通の人が拾わないような着眼点で、発想として面白いしとてもいいと思いました』と20年ぶりくらいに言ってくれて。相手のことをちゃんと考えて、その人に向き合ってという人」
目の前のことと向き合うという素養は、旭丘高校時代から。
旭丘高校の同級生・東條尚子さん:
「当時から今日まで、赤根さんは顔も髪形も話し方も人柄も全く変わっていない。お互いに話し合った時に意見が合わないことが当然あるんですけども、必ず赤根さんは相手の話をよく聞いて、絶対折り合うところまで粘る」
そんな赤根さん、アメリカから「全ての手段を用いてICCを解体する」と圧力を受ける中、名古屋での講演では次のように語っていました。
赤根智子さん:
「もし日本に裁判所がなくなったらどうでしょう。それが“ICCが世界から消えた時の世界”だと」
社本弁護士など教え子たちは、8月から制裁撤回などを求めて、市民団体などと署名集めを展開。集まった署名の数はオンラインも合わせて17万4602。今月1日、政府へ提出されました。
赤根智子さん:
「まさにICCこそが、世界における法の支配の最後の砦」
法の支配の「最後の砦」=ICCは、平和賞受賞となるでしょうか。
