シーズンを迎えた芋煮会と「クマ対策」についてです。冬眠前にクマが餌を求めて活発化する時季で、芋煮会の会場では訪れた人に安心して楽しんでもらえるよう、対策を徹底しています。今年のクマの出没の見通しと合わせてお伝えします。
広瀬川沿いにある、仙台市青葉区芋沢の芋煮会場です。
食材などを持参する必要がなく、手ぶらでボリューム満点の芋煮を味わえるとあって、この日も社会人のグループなどおよそ170人でにぎわっていました。
利用客
「毎年10月に仲間で集まって。この季節がやっと来たという実感もあります。おいしかったです」
「おいしかった」
「初めて会う人もたくさんいるが、鍋を通して一気に関係が深まるのがすてきだなと思う。(芋煮の味付け)しょうゆが好きなので山形派」
50年以上続くこの芋煮会場ですが…。
元祖仙台いも煮会場広瀬川 宍戸正樹店長
「去年は10月は平年並み好調だったが、11月から“クマ”の情報が多くなってきて、それとともにキャンセルが相次いだ」
去年の予約受付表には「熊キャンセル」の文字が…。
クマの出没を心配してキャンセルが相次ぎ、例年と比べ4割の客入りとなったということです。
元祖仙台いも煮会場広瀬川 宍戸正樹店長
「クマで大きく客が減少したのは去年が初めて。団体での利用が多かったので、団体で集客が減ったので響きました」
会場にはこれまで一度も、クマが出たことはないということですが、利用客の安心・安全につなげようと、去年からロケット花火やクマスプレーを用意。
今年は周辺の背丈の高い草木を刈って見通しを良くするなどし、対策を強化しています。
さらに…。
元祖仙台いも煮会場広瀬川 宍戸正樹店長
「ゴミの対策としては、各団体にバケツを渡して、食べ残しなど食材を周りに捨てないようにお願いしている」
においでクマを引き付けないよう、芋煮で出た生ごみなどの処理も徹底しています。
元祖仙台いも煮会場広瀬川 宍戸正樹店長
「会場でもやれる限りの対策は日々万全にやっていきたいと思いますので、安心して来場いただけたら」
人里への出没が相次ぎ、“クマ異常事態”とも言われた去年。
10月、栗原市ではキノコ採りをしていた女性がクマに襲われ死亡。一緒に山に入った70代女性の行方は、1年たった今も、分かっていません。
宮城県によりますと、昨年度の出没件数は夏から秋にかけて例年を大きく上回り、10月のクマの出没件数は1239件に上りました。
クマの餌となるブナの実の“大凶作”が、要因に挙げられています。
一方、今年は、東北森林管理局の調査でブナの実は「豊作」と判定されていて、専門家は「去年ほどの出没はない」と予測します。
岩手大学農学部 山内貴義准教授
「基本的に昨年よりはかなり餌の条件が良いと言えると思います。だから今年は出没自体は大幅に減ると思います」
この棒グラフは、近年のクマの出没件数を色分けして示したものです。
ブナの実が「大凶作」だった23年度と昨年度は出没が多く、豊作だった24年度は、出没が少なかったことがわかります。
ただ、こんな懸念も…
岩手大学農学部 山内貴義准教授
「山に餌がだらだらとあると、なかなか冬眠しないんですよ、クマって。冬眠の時期が全体的に遅れる可能性はあります。通常は12月ぐらいになると大体冬眠するんですけど、ここ数年間はふらふら出てくる個体がいるので、頭数は少ないにしても、『もう冬眠しているから大丈夫だろう』と安易に思わない方がいい」
また、住宅街にも出没するなど人里を恐れない、いわゆる“人慣れ”したクマに注意を呼びかけます。
岩手大学農学部 山内貴義准教授
「人の生活音、車の音や話し声などにかなり鈍感になっています。小さい頃から母親と一緒に人里の周辺をうろうろしているので、人間の生活をまったく気にしないような個体が増えています。そういった個体に関しては、思わぬ至近距離でいきなり遭遇してしまう可能性はあると思います」
芋煮会や山菜採りなど、秋のレジャーを安心して楽しむために…。
1人1人が基本的なクマ対策を知り、実際に講じていくことが大切です。
岩手大学農学部 山内貴義准教授
「まずは出没情報や目撃情報をこまめにチェックして、行政の指導にきちんと従う。そういった情報があった際には、餌になるものを外に放置しないこと、戸締まりをしっかりすることが大切」
