30年近く破られていなかった中学1年生の日本記録を更新するとともに、中1初の10秒台を叩き出した未来の“オリンピック候補”を取材した。陸上を始めてまだ2年半、その速さの秘密に迫る。
中1初の100m10秒台
福岡・久留米市で活動する陸上クラブ『MINT TOKYO AC』。

九州大会や全国大会に出場するレベルの選手が多く集まるこのクラブで、ひときわ注目されているのが、目野惺大(めの・せいた)君。あどけなさが残る中学1年生だが、「幼稚園の頃から足が速かった」と自負する走りの素質は本物だ。

2026年6月、目野君は、男子100mで28年ぶりに中学1年生の記録を更新する11秒01をマーク。

翌7月には、福岡市で開催された競技会で、10秒96のタイムを叩き出した。

自身が塗り替えたばかりの中学1年最高記録を、わずか1ヵ月で更新するとともに、中学1年生として史上初めて公認での100m10秒台を達成したのだ。

その時のことを目野君は、「後で記録を見返したらなんか10秒台が出ていたので本当にびっくりした」と振り返る。しかし、「スタートが失敗した」とも話していて、更なる記録への挑戦に意欲満々だ。
強みはサッカーで培った再現性
今、陸上界で大きな注目を集める存在となった目野君の“強み”を指導する蒲池諒伍監督は、「指導されたことを自分のものにし、動きとして再現する力」だと断言する。

「『ここをこうした方が良いよね』というところを、彼は自分でしっかりと再現できる。『再現性』がかなり秀でている」。

その再現性を育てた要因は、小学生の頃やっていたサッカーではないかと蒲池監督は分析する。

目野君は小学校時代、陸上とサッカーチームに所属しFWを務める“二刀流”だったが、その際、『どう体を動かせば相手をかわせるか』など、様々な動きをサッカーで身に付けた経験が陸上にも生きているという。

「自分が行った動きにプラスして、ボールがどちらの方向に行くかとか、ボールをどういう風にコントロールしてとか…。そこは陸上競技では培えない部分かなと」。

サッカーの動きを生かし、一気に世代のトップに駆け上がった目野君。スタートに磨きをかけた今期は、次々に記録を更新し、文字通り伸び盛りの選手だが、『もっと早い人はいる』ことを実感する苦い経験もしている。

8月に行われた“全中陸上”『全日本中学校陸上競技選手権大会』では、中学1年生でただ1人、出場できるタイム保持者として3年生に混じってレースに臨んだが、惜しくも予選敗退となってしまった。

「こんなにいっぱい10秒台がいる試合とかは、走ったことがなかったので、驚きが沢山ありました」と率直に語る目野君。

初めて実感した全国のトップ選手との差。その悔しさをバネに今、ひたすら練習に励んでいる。

息抜きは小3から続けているピアノ
陸上の練習の合間に目野君が向かうのは、小学校3年生から始めたピアノ。

好きな曲を弾くことが息抜きになっていると話す。「最後まで弾けた時は、なんか気持ちいいなって。陸上でタイムを出した時ぐらい、なんか『やったな』みたいな感じ」と微笑む。
ピアノで息抜きしながら陸上に打ち込む13歳。目指す目標は、更に高い。「日本記録を中2、中3でも更新して『全中』でも優勝したいです。高校生でも9秒台に入って日本代表とかで活躍できるような選手になりたいです」。

指導する蒲池監督は、「これからフィジカル面も技術面も大幅に伸びていくだろう」と確信。将来、日本を代表して世界の舞台で躍動するトップアスリートへの成長を期待している。
(テレビ西日本)

