北九州市を拠点に活躍する“最強の双子”ボクサー。互いを最大のライバルと呼ぶ兄弟の3連覇への戦いに密着した。
目標は3連覇“最強の双子”ボクサー
福岡・北九州市の三郎丸小学校に通う小学6年の南覚馬君(12)と双子の弟・南維馬君(12)。

学校生活では、普通の小学生だが、放課後、学校を離れると、全く別の顔になる。

2人は、ボクシングの全国ジュニア大会で2連覇を果たしている“最強の双子”ボクサーなのだ。

2人が週3回通っている『HKスポーツボクシングジム』。シャドウボクシングやサンドバッグを叩く姿は、学校で見る姿とは別人だった。

2014年生まれの南兄弟は、3歳から空手、6歳からキックボクシングと格闘技の道を歩んできた。そして、ボクシングの世界に足を踏み入れたのは、3年前の9歳の時。

空手やキックボクシングの経験が生きているのか、2人はボクシングを始めて僅か1年で、それぞれの階級で全国制覇を果たす。

その翌年も兄弟揃って優勝し2連覇達成。もちろん2026年の目標は、全国で3連覇だ。
兄弟は最大の『ライバル』
2人の強さの秘密について、本人達はどう思っているのか?兄の覚馬君は「弟がいることで、自分も前向きで『負けてられん!』という気持ちがモチベーションに繋がっている。必要な存在」と弟を認めている。

弟の維馬さんも前を行く兄に追いつきたいという思いが強い。「覚馬がいるから、僕が段々近づいていける。引っ張ってもらっているというか、走るのも、ちょっと向こうの方が速いので、そこについて行って…」と話す。

2人は、互いのことを最大の『ライバル』と認識しているのだ。」

2人を指導する『HKスポーツボクシング』会長の桑原秀彦さん(51)は、2人の将来性について、「プロになって日本チャンピオンになって、将来的な期待はある」と2人の素質の高さと負けん気の強さに期待を寄せている。

2人の強さの理由は、互いに負けず嫌いな性格と練習量にある。自宅で週2日ほど行っている自主トレでは、体幹を鍛えるトレーニングのほか、ミット打ちなど実践形式の練習も繰り返している。

トレーニングを見守る父親の南治樹さん(50)は、格闘技の経験は全くなく「ボクシングの試合やプロの選手とか、子供達と一緒に見たりして互いに勉強している」と話す。

トレーニング中、すぐに兄弟喧嘩のような小競り合いが始まる。

「ここがダメなんよ!何で急に殴りだしてくるん?」と兄の覚馬君が弟に苛立つ。すかさず父親の治樹さんが「最初、普通にやって!」と声を掛けて諫める。

負けん気の強い兄弟。練習中も小競り合いは日常茶飯事。物心ついた頃からずっとこの関係は続いているという。

「お兄ちゃんの覚馬の方が維馬より勝るところが多くて、維馬の方は『弟だから仕方ないな』くらいの感じでいるのかと思っていたら、実は『なにくそ!』と思っていたみたい。兄の覚馬は今でも『やっぱり弟には負けられない』みたいな…。本当に2人は『ライバル』なんだな」(父親の治樹さん)。
3連覇への兄弟の戦い始まる
2026年6月20日。この日、福岡・田川市で開かれた『JCL西部日本大会』予選。

3連覇に向けた第1歩となるこの大会には、九州・沖縄、山口、広島から全階級合わせて約100人がエントリーした。

大人と同じく体重別で階級が分かれているジュニアボクシングの世界。覚馬くんは、35キロ級に出場。維馬くんが出場する32.5キロ級は、この予選では対戦相手がいないため、兄のサポートに回る。試合は、1分3ラウンドの戦いで、序盤から覚馬君が積極的に攻め、相手を圧倒していく。

試合は終止、相手を翻弄した覚馬君が勝利。まずは、緊張する初戦を無事に突破した。

翌6月21日、予選2日目。2戦目も覚馬君が順調な滑り出し…かと思いきや予想外の展開が待っていた。相手のペースに飲まれ、思うような動きができない。
弟の維馬君が、「落ち着けって!」と兄に声を掛ける。ペースを掴めず自分のボクシングができないまま試合は終わった。
「相手から研究されているのかも」
判定で勝利を収めたものの試合内容に納得がいかず、思わず涙が溢れる覚馬君。

セコンドにつていたボクシングジムの桑原秀彦会長は、「きょうの試合は、覚馬が熱くなりすぎたのかな。もう少し冷静にできた。相手も研究してきているかもしれませんね」と試合を析した。

これまでの活躍で、対戦相手の選手や陣営からマークされ、癖や動きを研究される存在になっていたようだ。

「自分が思っていたボクシングができなかった。しっかり振り返って悪いところを見直したい」と反省の言葉を口にした覚馬君。この日、苦戦したことで、改めて3連覇の難しさを意識し、気を引き締め直して臨んだ8月の『西日本代表決定戦』では、覚馬君はもちろん、弟の維馬君も見事、勝ち抜き決勝戦進出を決めた。

“最強の双子”を証明する戦い。3連覇がかかる決勝戦は、10月4日、東京・後楽園ホールで行われる予定だ。
(テレビ西日本)

