鹿児島近海で獲れたばかりのカツオが、新幹線に乗って福岡へと届いた。出発からわずか2時間で消費者の手に渡るというスピード感が、生産者や購入客を驚かせている。熊本地震の影響で73日間にわたって停止していた新幹線の荷物輸送が、10月5日についに再開された。
鹿児島中央駅を出発、1時間半で博多へ
10月5日午前10時すぎ、JR鹿児島中央駅のホームには、乗客に混じって荷物が置かれていた。中身は、その朝に鹿児島近海で水揚げされたばかりの新鮮な海の幸だ。カツオのたたき70パックに加え、カンパチやキビナゴなども約30パック準備された。

荷物は新幹線へと積み込まれ、午前10時24分、乗客とともに鹿児島中央駅を出発。1時間半後に到着したのは、福岡県の博多駅だった。駅構内のイベントスペースにカツオのたたきが並べられると、早速購入する客の姿が見られた。

「冷凍していないカツオのたたきは初めて食べるので、食べてみたいなと思って購入した」「国産のおいしい新鮮な物が食べられるので、安心して食べられる」と、購入客たちは口々に話した。
73日間の停止、熊本地震が影響
JR九州は2021年から新幹線での荷物輸送を行ってきた。しかし2026年7月に発生した熊本地震の影響により、一部区間での運転見合わせが続いたため、今回の輸送は実に73日ぶりとなった。

鹿児島を出発してから福岡で客の手に渡るまで、わずか2時間。この圧倒的なスピードこそが、新幹線輸送の最大の強みだ。生産者である山実水産の山口憲一郎社長は、「新幹線で来た魚は新鮮だと改めて感じた。待ちに待った開通。鹿児島一丸となってPRしていければ」と再開への喜びを語った。

鹿児島の食を九州全域へ広める可能性
JR九州の列車物流プロジェクトを担当する石井太志主査は、「即日配送が新幹線輸送の一番のメリット」と強調する。「いろいろな飲食店で鹿児島の食をどんどん広める手助けが列車荷物輸送でできたら」と、今後の展開への期待を示した。

新幹線輸送の再開は、単に物を運ぶだけにとどまらない。鹿児島の漁業者にとっては販路の拡大につながり、福岡の消費者にとっては新鮮な地方の食材を手軽に手に入れる機会となる。地域と地域をつなぐ「食の動脈」として、新幹線荷物輸送が果たす役割は大きい。

