鹿児島市が整備を目指すサッカースタジアムは候補地がようやく絞られたものの、実現には課題も残されています。
具体的な協議が始まろうとする今、下鶴市長が規模感を参考にしたいとする福岡県北九州市のスタジアムの効果や課題から鹿児島市の計画を考えます。
8月24日に開かれた鹿児島市議会の常任委員会。
鹿児島市観光交流局・児玉博史次長
「県立鴨池庭球場の敷地などを候補地に検討を進めることにし、鹿児島サンロイヤルホテルの敷地などは検討対象から除外することにする」
市当局はサッカースタジアムの候補地を絞り込みました。
整備が計画されるのは鹿児島市与次郎の県立鴨池庭球場。
この場所でJ1の基準を満たす1万5000席以上のスタジアム建設を目指します。
スタジアム構想が立ち上がって9年、これまでいくつもの候補地が浮かんでは消えました。
候補地が絞り込まれたことを「大きな節目」とする下鶴市長。
鹿児島で造りたいスタジアムとしてイメージする場所がありました。
鹿児島市・下鶴市長
Q.鹿児島市の参考になる規模感のスタジアムは?
「目指していくのはJ1規格の規模なので少し大きさが違うかもしれないが、北九州や金沢(のスタジアム)が参考になる」
26日、サッカーJ3の鹿児島ユナイテッドFCがアウェー戦を戦ったのがまさに、その場所でした。
鹿児島市はどんなスタジアム像をイメージしているのか?
取材班は福岡県北九州市へ。
大城哲也記者
「下鶴市長が、スタジアム計画の規模感の参考にしたいと名を挙げたミクニワールドスタジアム北九州にやって来ました。スタジアムの魅力や運営の課題をこれから探ります」
ミクニワールドスタジアム北九州。
サッカーJ3ギラヴァンツ北九州のホームスタジアムで「ミクスタ」の愛称で親しまれています。
オープンは2017年。
それまで使われていた陸上競技場の規模の小ささや、J1入りを目指すギラヴァンツの活躍を願う声の広がりを受け、完成したスタジアムです。
JR小倉駅から歩いて10分ほどのアクセスはまさに街なか。
スタジアムまでほとんど屋根で覆われ、雨の日の移動も安心です。
ミクスタの魅力を施設の担当者に案内してもらいます。
大城記者
「壮観ですね」
ウインドシップ北九州(指定管理者)・清水美徳さん
「ホームのゴール側だが、盛り上がりはすごい」
目の前に広がるのは天然芝のピッチを囲んだ3方が上下2層のスタンド。
清水さん
「バックスタンドのすぐ後ろが岸壁で、海の目の前になっている。同時に山も見えるので最高のロケーション」
ピッチまで下りるとミクスタ自慢の仕掛けが。
大城記者
「近いですね。スタンドから」
清水さん
「特徴としては『ゼロタッチスタンド』と言って、一番前の席に座ると選手と同じ目線になる。これが特長になっている。より臨場感があり、目の前で見ることができる」
このミクスタの整備にかかった費用は100億円。
30億円がスポーツ振興くじの助成金で、残り70億円は市債、市の借金が充てられました。
スタジアムの収益性を高めるためフィールド以外にもこんな特徴が。
清水さん
「はい、どうぞ」
整備されていたのはVIPラウンジや会議室。
有料で貸し出し、ビジネスでの商談やもてなしの場に使われるといいます。
清水さん
「ほどよい大きさというのも魅力の一つ。造るにしろ維持するにしろお金がかかるので、それをいかに回収するか」
こちらはミクスタの利用者数です。
21万人を目標とする年間の利用者数はコロナ禍の影響はあるものの、それに近い数字に近づきつつあります。
しかし気になるのは収支です。
使用料などで得る約4000万円の収入に対し、指定管理料と土地の借地料を合わせた支出は1億5000万円前後で毎年1億円を超える赤字となっています。
北九州市スポーツ振興課・平塚豊和さん
「収入に対し支出がどうしても多い赤字になるが、そこは経済効果でにぎわいを見せている」
毎年、北九州市の財源で賄われる1億円の赤字。
その一方で市の担当者が強調するのは経済効果です。
北九州市スポーツ振興課・平塚豊和さん
「スタジアムができた直後に、1年間で大体約11.2億円の経済効果が試算されている。駅周辺でも人の流れが3割くらい増えたことも効果として上がっている」
ミクスタの存在を北九州市民はどう感じているのでしょうか。
北九州市民 20代
「スポーツを見に行こうと集まることがあり、若い人たちも行くので重要な施設」
北九州市民 30代
「地元のギラヴァンツを応援に行った。サッカー以外でもイベントや子供向けがあれば。せっかくいい建物で室内もあるのでイベントがあればいい」
北九州市民 80代
「北九州市民が気持ちよく1歩、2歩と足を運べる『こんなのがあるから行ってみよう』とならないと、100億円もかけてもったいないスタジアム」
運用開始からまもなく10年、ミクスタの取材からは効果と課題が見えました。
鹿児島市・下鶴市長
「内容に基づき予算議案を審議してもらうので、一つの判断の“節目”になると考えている」
候補地が絞り込まれ、今議会でも議論が交わされている鹿児島市のサッカースタジアム計画。
整備費は庭球場を移設費用28億円を含め、概算で215億円に上ります。
行政、民間がそれぞれどのように費用負担をするのかがスタジアム実現への最大の課題となりそうです。
その枠組みの中で、応分の負担”の意向を示す鹿児島ユナイテッドFCの徳重剛代表はスタジアム整備の効果を見せていく必要があると話します。
鹿児島ユナイテッドFC・徳重剛代表
「候補地と言われる所に整備されたら、その地域だったり鹿児島に対し、どのような波及効果やプラス面があるか、しっかりと議論がなされなければならない」
候補地が絞り込まれようやく前に進み始めたスタジアム計画。
巨額な建設費に加え完成後にかかる運営費なども含めたスタジアムの全体像を示すことが今後、鹿児島市には求められそうです。
