金の価格が高騰し続ける今、街に「買取専門店」が増えている。
大阪市の阪急・三国駅前でも買取専門店はあちこちに、ある店を起点に、3軒隣にも、さらに20メートル先にも。
長引く物価高の影響で、「モノを売ってお金を得る」という選択肢が、もはや特別なことではなくなってきた。
一方、昔ながらの「モノを預けてお金を借りる」質店も需要が増えているという。
「質店」や「買い取り」を巡るお金の最新事情を関西テレビの秦令欧奈アナウンサーが徹底取材した。
■街の人たちが売ったものは?
まず、街の人たちに「大切なものを売ったことがあるか」を聞いて回った秦アナ。すると、いきなり驚きの声が飛び出した。
街の人:最近。ネックレスと指輪4個売って、62万円。
秦アナ:なぜ売ったんですか?
街の人:私もう高齢やしパーティーに出ることもない。
続いて聞こえてきたのは、思わずほっこりするエピソードだった。
街の人:金のネックレス売りました。11万円。
秦アナ:そのお金で何を買われた?
街の人:電動アシスト付き自転車を買いました。
秦アナ:ネックレスに思い出は?
街の人:…おばあちゃんのです。
秦アナ:おばあさまに報告は?
街の人:もうこの世にはいてない。でも、おばあちゃんと一緒に自転車で出勤している。おばあちゃん、ありがとう!

■売って後悔
一方、売ったことを後悔している人も。
街の人:カバンを売ったら50円…1万2000円で買ったカバンが50円だったのでショック。まだ十分使えたのに。
そしてさらに切ない経験談も。
街の人:単車!ブラジルに行くために売った。28万円。
秦アナ:旅行行けたなら満足なんじゃないですか。
街の人:息子に『あの時のバイク今売ったら何百万やで』って。
このバイク、生産が終了してプレミア価格になったそうだ。「旅行行けたなら満足なんじゃないですか」と楽観的に返す秦アナですが、当人にとっては「うわー!」としか言いようがない話だ。

■質店って何? 神戸・新開地の老舗に突撃
そんな中、いま注目を集めているのが「質屋さん」だ。モノを手放さずに「預ける」ことでお金を借りられる、そのシステムに需要が高まっているのだ。
秦アナが向かったのは、神戸市の新開地。60年以上続く老舗の質店「大八」。
秦アナ:早速なんですけど、“質屋さん”と“買い取り”の違いって何なんですか?
大八代表 森田成史さん:買い取りは、お客さまが不要になったものを買い取るので、所有権がお客さまから店側へ変わります。
一方、質店はお金を貸す代わりに品物を一旦預かるだけで、3カ月後に利息とともに返金すれば品物は戻ってくる。ただし返せないと「質流れ」となり、所有権は質店へ渡る。

そして見せてもらったのが、先日「質流れ」になったばかりのロレックスの腕時計。秦アナが価格タグを読み上げる。
秦アナ:一、十、百、千、万、十万、百万…1800万円!?
1000万円以上のお金を借りながら、返せなかった方がいるということ。背景にはそれぞれの事情があるのだ。

■常連さんから初めての方まで、質に入れるワケとは?
取材中、様々な人が質店訪れた。1人目は60代の男性。妻のダイヤの指輪を質に入れるのは、これで3度目になるそうだ。
秦アナ:どういうきっかけで指輪を購入したんですか?
60代男性:僕が買った指輪じゃないんですけどね。まあまあ妻とか…。
秦アナ:大丈夫なんですか?
60代男性:まあまあ、はいはい。
ちゃんと妻には許可を取っているそうだ。 借りたお金は3万円で、3カ月後に1カ月8%の利息を合わせた合計3万7200円を返せば指輪は戻ってくる。
60代男性:給料は月末なんですけど、お金が必要なんで…。カードとかだと余計返さない。ものを預ける形だから、思い出があるから。

■130万円の腕時計を担保に…飲食店経営者の男性の事情
続いてやってきたのは、飲食店を経営する50代の男性。3カ月前に借りた10万円を返しにきた。担保に預けていたのは、購入時130万円の腕時計だ。
50代男性(飲食店経営):店を始めた際の借金がなくなったときに、自分へのごほうびとして買った。
秦アナ:絶対に取りにくるつもりなんですか?
50代男性(飲食店経営):そうですね、はい。
秦アナ:質流れのつもりは?
50代男性(飲食店経営):ないない、ないです。
借りた10万円の使い道は税金の支払い。資金繰りが苦しい月に、大切な時計を利用した形だ。

■ブランド品のプロ 仲よくなれば何でも相談
お金の貸し借り以外に、質店ならではのこんなサービスも…。
50代男性:(時計が)1回動かなくなって。修理出させてもらって、きょう返ってきました。
秦アナ:ここで修理したってこと?
50代男性:ブランド品のプロなんで!
そうなんです。質店はブランド品に精通しているので、親しくなれば何でも相談できるんだそうなのだ。
大八代表 森田成史さん:指輪のサイズ直しなど、要望に応じて対応います。

■今回最大のおっカネ~案件はタンスの中の小判!
今回の取材で最も驚きのものを持ち込んだのは、初めて質店を訪れたという30代の男性だ。木箱から出てきたのは…金色に輝く「小判」!
30代男性:亡くなった祖父の家のタンスの中に入っていた。1回質に入れさせてもらおうと思いまして。生活費だったり、大きなものが必要になったので。
果たしていくらになるのか。代表の森田さんが鑑定する。
大八代表 森田成史さん:預かりで110万円。
30代男性:本物でした?じゃあお願いしていいですか?
110万円で交渉成立! おじいちゃんのタンスの中に眠っていた小判が、孫の生活を支えることに。これはもう、おじいちゃんに大感謝だ。

■母からもらったブレスレットで母の入院費を
そして50代の女性は、数年前におよそ10万円で買ったという、金のブレスレットを持参。上限と言われた7万5000円を借りた。
秦アナが「思い入れのあるものですか?」と聞くと返ってきたのは、「母親が勝ってもらったもの」という答え。大切なものを質に入れたのには、理由があった。
50代女性:母が入院してしまって、その入院費用がちょっと足らなくて。
秦アナ:入院費用、治療費はいくらかかる?
50代女性:先月は18万円。
秦アナ:3カ月後、ブレスレットは取り戻す?
50代女性:頑張って、ことしのボーナスで
ちなみに、利用者の8割がちゃんと返済して品物を取り返しているそうだ。思い出があるから、返したい。その気持ちが原動力になっているのかもしれない。
(関西テレビ「newsランナー」2026年9月25日放送)


