5000人余りが犠牲となった伊勢湾台風から67年。当時、浸水などで大きな被害を受けた愛知県弥富市に新たな防災活動拠点が誕生し、9月28日から運用が始まりました。
■海抜ゼロメートル地帯に…命を守るヘリポート
(リポート)
「新たな防災活動拠点の屋上、高さ15mの場所には、大型の自衛隊のヘリコプターも離着陸できるほどのヘリポートが整備されています」

28日から運用が始まった愛知県弥富市の防災活動拠点。南海トラフ地震などの大規模災害に備え、整備されました。
愛知県防災安全局の高井良澄さん:
「南海トラフ地震など大規模災害が発生した場合に、津波や堤防沈下等によって、この海部地域で大規模な浸水が発生いたします。取り残された方々をボートやヘリコプターで救出するための拠点です」
弥富市周辺は、日本有数の海抜ゼロメートル地帯です。満潮時の海面よりも土地が低い地域で、大規模地震で堤防が損壊するなどした場合、広範囲にわたって浸水被害が発生する恐れがあります。

高井さん:
「愛知県が南海トラフ地震の被害想定を公表しておりまして、その最大浸水深を見ますと、この地域が約2メートルといわれております」
施設は、こうした災害時に救助活動ができるよう設計されています。屋上のヘリポートは地上およそ15mにあり、浸水被害に遭っても救助活動を維持できます。

また階段を上がった倉庫には、救助用のボートや飲料水・毛布なども整備される予定で、長期間水に浸かってもここを拠点に救助活動を継続できます。
■今も相次ぐ浸水被害…伊勢湾台風の「教訓」は
新たな防災拠点が整備された背景には、この地域が経験した67年前の大災害があります。
1959年9月26日、5098人が犠牲となった伊勢湾台風。高潮によって堤防が決壊し、この地域を含むゼロメートル地帯も広範囲で浸水、排水が完了するまで120日以上続いたと言います。

高井さん:
「伊勢湾台風の時にも、長期間このエリアは浸水したといわれております。同じような被害があった際にも、必要に応じて活用していきたい」
今年9月の台風25号でも、千葉県の印旛沼で堤防が決壊。周辺350棟余りの住宅が浸水し、住民がボートで救助される事態が発生し、1週間たった今も排水作業は続いています。
弥富市など木曽三川下流域でも、浸水が長期化する懸念があります。愛知県が6月に公表した、南海トラフ地震など巨大地震が起きた際の想定浸水被害のマップでは、弥富市を含む木曽三川下流域の非常に広い範囲で浸水が想定されます。

災害後、いかにスムーズに救助し、長期にわたり救助体制が維持できるか。こうした課題に応える新たな防災拠点の整備に、地域の住民は…。
住民ら:
「備えはやっぱり大事かなと思います。逃げられるという安心感はある」
「こないだの大雨でここら辺は冠水した。ボートがあれば避難できるし、いいなと思います」
愛知県では、弥富市など4か所で防災活動拠点の整備を進めています。

南海トラフ地震で浸水被害が想定されている愛西市と西尾市で既に運用されていて、今回、弥富市で運用が開始されました。さらに2027年度には、豊橋市でも運用が始まる予定です。
中でも愛西市と弥富市は、木曽三川下流域に広がる海抜ゼロメートル地帯に設けられていて、浸水が想定されるエリアが広いことから、北と南の2か所でカバーしています。
伊勢湾台風から67年。新たな防災拠点には、過去の教訓を次につなぐ役割が託されます。

