判決などによりますと、松本雅子被告(55)は去年7月、別の人物と共謀し、福山市の買取専門店に金を装った商品を持ち込んで買い取らせ現金をだまし取るなどした詐欺の罪など、六つの事件で起訴されていました。
弁護側は、金は本物と思っていたとして起訴内容の一部について無罪を主張していました。
25日の裁判で松本英男裁判官は「面識のない人と一緒に売りに行くということは違法行為であると疑念を抱くべきだ」と指摘。「詐欺の行為は認められる」として、拘禁刑3年4カ月の実刑判決を言い渡しました。
この事件を巡っては共犯者の元被告に検察が司法取引を適用したことが明らかになっていて、元被告には検察の求刑通りの執行猶予付きの判決が言い渡されました。
また警察は、供述などをもとに暴力団組員らを逮捕し引き続き捜査を進めています。
広島弁護士会によりますと、県内の裁判で司法取引が適用されたのは初めてとみられています。
■トクリュウ型犯罪の首謀者摘発のため「司法取引」活発化か
県内では初めてとされる司法取引の適用について、特殊詐欺やトクリュウの犯罪の解決につながるのか専門家に聞きました。
刑事法・犯罪学などが専門の広島大学の吉中信人教授は、司法取引が今後も取り入れられることが考えられるといいます。
【広島大学法学部長・吉中信人教授】
「司法取引は他人の犯罪について真実の供述や証拠提供を行えば見返りとして自分の刑事処分について恩典が受けられる制度。特殊詐欺やトクリュウ型の犯罪は首謀者の摘発が難しくなっているので、これらを摘発していくためには、今まであまり活用が活発ではなかったが「司法取引」を今後も積極的に活用されると考える」
実態解明が難しい組織犯罪などの捜査を進める有効な手段とされる一方、課題も指摘します。
【広島大学法学部長・吉中信人教授】
「共犯者間で自分を助けるために仲間を売ることになってしまうので、そのために供述そのものが歪められてしまうことや嘘を言う、供述の信用性に疑問があると虚偽供述への懸念がデメリットの1つとして指摘されることがある」
■「司法取引」アメリカと日本では少し違う
ドラマなどで「司法取引」という言葉が出てくるが、アメリカと日本では少し違うそうです。アメリカの「司法取引」は自分の事件に対する取引で、自分の供述で自分の罪が軽くなることがある。一方、日本は、他人の事件に対する捜査協力ということです。

