21日は「敬老の日」です。実は関西に”長寿の町”と呼ばれる自治体があります。
そこで見えた元気に100年生きるための秘訣とは何か。
その一方で迫るのが“身寄りがない高齢者”の増加です。
誰もが当事者になりうる現実に迫ります。
■敬老の日 “年齢と同じ割引率”セール開催
敬老の日の朝、大阪市内のある店先に長い行列ができました。
お目当ては、65歳以上を対象に年齢と同じ割引率で購入できる人気の昆布です。
81歳の女性は定価1188円の昆布を81%引きの226円で手に入れ、「大盤振る舞いやな思って」と目を細めました。
日本人の平均寿命は男性が81.35歳。そして女性は87.33歳で41年連続世界1位。さらに100歳以上の人口はことし初めて10万人を突破しました。
■ 全国平均の“3倍”の割合 “長寿の町”京丹後市で長寿の秘訣を取材
そんな長寿大国の中でも、とりわけ注目される自治体があります。京都府北部に位置する京丹後市です。
全人口に占める100歳以上の割合が全国平均の3.1倍という、まさに“長寿の町”です。
116歳で男性長寿のギネス記録に認定された木村次郎右衛門さんも京丹後市の出身で、その記録は今も塗り替えられていません。
取材班が現地を訪れると、83歳でゴルフを楽しむ女性、92歳で船で海へ出る男性など、年齢を感じさせない人々と次々に出会いました。92歳の男性は「この歳で海行ってるのは、1人しかおらんわ」と笑います。
さらに100歳以上の人を探し情報を集めると「増田さんがいる」と教えてもらいました。
近所の人々は口々に「スーパーマン」「ことしの冬もスコップ持って雪かきしてはった」と証言します。
■ 101歳増田正さんが語る長寿の秘訣
こうして出会ったのが、御年101歳の増田正さんです。杖をつかずに歩き、「橋があったら跳びますよ。まだ若いもん。100歳はすぐなりますよ」と話します。
食事は、娘の玲子さんが用意した黒豆やいんげん豆、ヨーグルトを並べましたが、増田さんはそれを見て「これの3倍を食べる」と言ってのけました。
戦時中は陸軍の特攻隊に所属し、ことし5月には訓練をしていた台湾を訪問しました。
肝心の長寿の秘訣を聞くと、増田さんの答えはシンプルでした。
【増田正さん】「ないです。散歩しか。こうしてぶらぶら歩く」
一方、一緒に暮らす娘たちが長寿の秘訣として挙げたのは、意外な習慣でした。
娘のひとみさんは「おじいさんって呼ばないから」と言い、玲子さんも「正さんとか名前で呼ぶ。それはとっても大事なことだと私は思っている」と続けます。
増田さん自身も「名前の方がええです」と同意しました。
■ 専門家が示す4つの要因
京都府立医科大学大学院の的場聖明副学長は、京丹後市の長寿について4つの要因を挙げます。
・コミュニケーションによる絆
・食物繊維をとること
・運動すること
・生きがいを持つこと
研究によると、京丹後市の高齢者は歩くスピードが早く、腸内に酪酸菌と呼ばれる細菌が多いことも確認されています。
的場副学長は「海藻類や豆を食べる方が多く、食物繊維が酪酸産生菌を腸内で増やすことで、風邪にかかりにくい、かかってもすぐ治るといった効果につながっている」と説明します。
■ “身寄りなき老後” 2050年に834万人の現実
喜ばしい長寿の一方で、深刻な課題も浮かび上がっています。
日本総合研究所の推計では、おととし459万人だった「子のいない高齢者」は2050年には1000万人以上に増える見込みです。
そのうち配偶者もいない”身寄りのない高齢者”は834万人にのぼると予測されています。
大阪市内で一人暮らす中島馨子さん(70)もその一人です。
配偶者と子どもはなく、関東にいる兄弟とも長年連絡を取っていません。最近、友人2人が認知症になったことで将来への不安が一層強くなったといいます。
【中島馨子さん(70)】「2人とも旦那さんがいるんですよ。家族がいるんですよ。施設に入れてもらって、介護もしてもらってというのを見ていると、自分はダメだなと。一人で何もできないなと。お金と体ですね。やっぱり不安は」
中島さんは現在、24時間駆けつけてくれるサービスや葬儀の相談、介護施設入居時の身元保証を受けられる民間のサービスを利用しています。
定期訪問の日には、スタッフとともに納骨先の変更や「焼き切り」の希望を確認し合いました。
【中島馨子さん(70)】「非常に心強いですよね。いざとなったら相談に乗ってくれる人がいるんだと」
【あかり保証代表・弁護士 清水勇希】「悩みは本当に人それぞれで、保証人・認知症・孤独死の問題、いろいろある。”老後独り難民”と言われるような方を、少しでもなくしていきたい」
■ AIロボットが孤独を和らげる新たな試み
孤独や孤立をテクノロジーで軽減しようとする取り組みも始まっています。
AIが会話を記憶し、利用者に寄り添う話し相手になるロボット「Romi(ロミィ)」がその一例です。
先月、一人暮らしの高齢者10人がそれぞれRomiと1カ月間過ごしたところ、7人が「外出の機会が増えた」と回答しました。
体験者の一人は「『Romiおはよう』と言ったら、『きょうはこんなことがあるよ』と教えてくれる。家族がいるようなね」と話します。
Romiが地域のイベント情報を知らせることで外出を促し、孤独や孤立の軽減につながると期待されています。
(関西テレビ「newsランナー」2026年9月21日放送)
■「“伝統的家族観”にこだわれば“社会が支える”という部分で遅れるのでは」橋下徹氏指摘
身寄りのない高齢者の増加の現実を受け、newsランナーに出演した橋下徹氏は、与党を中心とした政治家が考えを変えるべきと指摘しました。
【橋下徹氏】「高市自民、維新それから他の国会議員もそうなんですけど、これはねもう伝統的家族感っていうのを打ち出して、“家族が世話をする”というだけでは無理です。
できる家族はやればいいんだけれども、そうでない高齢者は社会で支えるべき。
伝統的家族観などにこだわっている政治は、身寄りのない高齢者に対して社会が支えるという部分で遅れていくんじゃないかと心配しています」
また共同通信のジャーナリスト・太田昌克氏も社会の在り方が問われる段階になっていると指摘します。
【太田昌克氏】「最後生きがいは絆、コミュニケーションですよね。親族関係なくても周りに高齢者がいたら話をするっていうのは何より大事だと思います。
保守とかリベラルとかそんなこと言ってられる時代ではなく、社会全体が目の前の課題にどう取り組んでいくか、まさに文化が新しく問われてるんじゃないかと思います」
