以前お伝えした様々な障害・特性のある子どもたちに寄り添う美容室の話題です。
今年5月に新たに専用の個室をつくり、子ども、そして保護者もより安心して過ごせる空間になりました。
「チョキチョキチョキ!きょうもがんばりまーす」
「チョキチョキしてるんだよ!かずちゃん、すごい上手!」
ここは、さまざまな「苦手」を抱える子どもたちに寄り添う美容室です。
富山市の美容室「メアリスト」。オーナーの小林沙季さんが実家を改装して10年前に開業しました。
「お願いしまーす」
子育て中のお母さんに寄り添いたいと託児サービスも行っています。
そして去年から本格的に始めたのが、障害や特性のある子どもたちの受け入れです。
*小林沙季さん
「水が怖い、バリカンの音が怖い、いちばん多いのはクロスつけるのが嫌ってお子さんが多くて。やっぱり首絞められちゃうとか」
Qどうやって対処?
「つけずに切ります。そのまま帰りはお着替えしていってもらうので、クロスをつけずにそのまま」
文部科学省の調査では、通常の学級に在籍する小中学生の8.8%、11人に1人は発達障害の可能性があることがわかっています。(2022年文科省調査)
じっと座っていることを苦痛に感じたり、初めての場所でパニックになったり。
また、音や光・匂いなどの刺激に敏感な「感覚過敏」の子も少なくありません。
そんな子どもたちに寄り添い無理のないペースで進めるヘアカットは「スマイルカット」と呼ばれ、全国で取り組む美容室が少しずつ増えています。
*小林沙季さん
「大きい美容室だと他のお客様に迷惑がかかっちゃうとか、気を遣ってしまうということで自宅で切ってるとか、寝ている間に切ってるっていうお母さんもすごく多くて。本当にカットに困っているお母さんたちがすごく多いのを感じます」
「スマイルカット」の需要が増える一方、一般客との兼ね合いも難しくなってきたことから、小林さんは託児スペースの隣に専用の個室を設けることに。
今年5月に完成しました。
発達障害支援の資格を持つ保育士スタッフもサポートに入ります。
「こんにちは~」
この日やってきたのは、5歳のかずきくん。1年半前から通っています。
じっとしているのが苦手。そんなかずきくんが好きなのは、「流れる水の動き」。
お気に入りは、「トイレの水が流れる動画」なんだそう。ということで…
(タブレット見せながら)
「あ!流れてるー!あー!楽しいー!見てみて!お水が流れてるよ~。あ~座ってくれてありがとう!」
好きな動画を準備して、早速スタート!
「あー涼しい涼しい!暑いね~きょうもね~」
ドライヤーを当てながら同時にカット。
*友山茉莉さん(保育士・子ども発達障がい支援実務士)
「感覚過敏があるお子さんって、ハサミだけだったらそのハサミだけに集中がいっちゃうんですけど、意識が。でもドライヤーの風があることで、そちらに意識がいってくれることによって切れることも多くて」
「痛くないよ~」
通い始めたころは髪を触られることすら嫌がっていたというかずきくん。
少しずつ段階を踏み、カットができるようになりました。
7回目のこの日はバリカンにも初挑戦。
「はーち、きゅーう、じゅー!おっけー!おしまーい!かずちゃんがんばった!バリカンできたー!すごーい!」
*お母さん
「(特性が)多動なんです。なかなか座っていられないんですけど、ここはけっこう安心してお願いできるって感じ」
*小林沙季さん
「髪の毛ってずっと切らなくちゃいけないものだと思ってるので、障害とかの有無にかかわらずどんな子でも、切ってあげたいなと思っています」
(玄関にて)
「ばいばーい」
*小林沙季さん
「こういった美容室が増えるように知っていただくという活動もしていきたい」
そして小林さんたちは今回の専用ルームの開設とあわせて、こんな絵本も自分たちでつくりました。
子どもたちに、「美容室はどんな場所なのか」「どんなことをするのか」を事前に知ってもらうための絵本です。
初めての場所や経験に不安を感じやすい、パニックになりやすい子どもにとって「見通しを持てること」は大きな安心につながります。
来店者へプレゼントしているほか、1冊500円で購入もできます。
今後、保育園や児童福祉施設などで読んでもらえる機会もつくりたいということです。
障害、特性やその日の状態に合わせて工夫しながら進める「スマイルカット」。
この美容室での経験が、子どもたちにとって自信に、そして成長のきっかけにもつながっているようです。
