去年3月、大阪府茨木市の自宅で、部下の男性に暴行を加え、その後死亡させた疑いで元経営者の男が逮捕されました。
傷害致死の疑いで逮捕されたのは、元会社経営者の麻田剛史容疑者(59)です。
麻田容疑者は去年3月、大阪府茨木市にある自宅のガレージで、行政書士の井上智憲さん(当時50)の頭部に暴行を加え、死亡させた疑いが持たれています。
事件後、麻田容疑者は自ら消防に通報し、駆けつけた救急隊に対し「目の前で土下座し、頭をコンクリートに打ち付けた」という趣旨の説明をしていたということです。
一方、司法解剖の結果、死因が急性硬膜下血腫であったことから、警察は1年半ほど捜査を進め、逮捕に踏み切ったということです。
警察の調べに対して麻田容疑者は、「私は一切暴行はしていません」と容疑を否認しています。
■事件発生からおよそ1年半の捜査を経ての逮捕
事件の最新情報を大阪府警担当の岩橋裕介記者が報告します。
事件発生からおよそ1年半、どのような捜査が行われていたのでしょうか。
【大阪府警キャップ・岩橋裕介記者】
大阪府警は事件発生からおよそ1年半の捜査を経て麻田容疑者の逮捕に至りました。
この1年半ですが、取材をしていると、警察がかなり地道に証拠を積み上げるような捜査をしていたことが分かってきました。
捜査関係者によると、なぜ死亡したのかについても、一人の医師の見解ではなく、複数の医師から井上さんが暴行を加えられた疑いが強いという見解を得たということです。
■「現場となったガレージで大きな声が聞こえた」という証言も
また、これは、関西テレビの取材の中でも把握している情報ですが、警察も事件当日に現場となったガレージで大きな声が聞こえ、1人がぐったりしていたという証言を掴んでいます。
ある捜査幹部は麻田容疑者以外がこの事件に関与した疑いがあるのかどうかについて、「様々な可能性をつぶす捜査を進めていた」などと話し、今回の逮捕に自信を見せていました。
(Q警察はどのような証拠をつかんでいるのでしょうか?)
【岩橋記者】「事件は麻田容疑者の自宅ガレージの中、いわゆる「密室」状態で起きたとみられ、目撃証言など明確な直接証拠はみられません。
そうした中で、警察は医師の所見のほか、防犯カメラの捜査などから、浅田容疑者が事件に関与したと判断しました。一方で、麻田容疑者は任意聴取の段階から関与を否定しています。
今後どのような供述がなされるのか、事件解明に向けて警察の今後の捜査に注目が集まっています。
■事件発生から逮捕までなぜ約1年半もかかった?
事件発生から逮捕まで約1年半を要した理由について、元兵庫県警刑事部長の棚瀬誠氏は次のように説明しました。
【棚瀬誠氏】「地道な捜査を続けて証拠を固めてきた結果がこの1年半だと言える。
死因の硬膜下血腫は、例えば2日前に尻もちをついたとか、頭をぶつけた2日後に死亡した場合もあれば、暴行を加えられて数時間後に死亡したケースなど、様々な場合がある。
暴行が何時間前に行われたものか、なぜ死に至ったのか詰めていく作業に時間を要したのだと思います」
弁護士の菊地幸夫氏も、医師への照会に要した期間なども逮捕まで時間がかかった要因ではと指摘しました。
【菊地幸夫弁護士】「一度に複数の医師に依頼するってことはそうない。1人の医師また次のってやってると、1人の医師が意見を返してくれるまで2~3カ月かかる。複数の医師に意見聞くだけでもどんどん時間が経ってしまう」
■なぜ殺人容疑での逮捕ではなかったのか?ポイントは「殺意があったかどうか」
今回の逮捕が傷害致死容疑にとどまり、殺人容疑が適用されなかった理由についても、棚瀬氏は解説しました。
【棚瀬誠氏】「けがをさせる行為に殺意があったかどうかというのがポイントになります。
容疑者は殺意も否定している。現状の証拠関係では、容疑者が暴行を加えて死に至らしめたということは立証できたとしても、主観面についてはまだわからない。結果、傷害致死容疑で逮捕されている」
菊地弁護士も「まず暴行があって、この暴行に殺意が加わらないと殺人にならない。ただこの暴行も否定していますし、殺人まではまだ届かない段階だろうと思います」と述べました。
■供述と客観的証拠の積み上げが鍵に
今後の捜査のポイントについて、棚瀬氏は供述と客観的証拠の積み上げが鍵になると述べました。
【棚瀬誠氏】「逮捕下で容疑者が事実を認めるのか、引き続き否認をするのかというところにもよりますけれども、現状の客観的な証拠の積み上げというものをより確実なものにするために、容疑者の供述の裏付けをしていくという作業が進められます。
容疑者が動機面について語るのかどうかも含めて今後の捜査の1つの大きなテーマになると思います」
その上で菊地氏は、捜査の核心は医学的な知見にあると強調しました。
警察は、麻田容疑者の詳しい動機や事件の経緯について引き続き調べています。
(関西テレビ「newsランナー」 2026年8月27日放送)
