販売枚数、販売額ともに日本一を誇る県産のノリ。和食以外でも販路を拡大しようと挑戦している男性がいます。
ノリと世界の料理のコラボに取り組む佐賀市の企業の営業活動に密着しました。
リゾットに投入されたのは…なんと佐賀海苔。
東京・南青山にある高級イタリアンレストラン。
ここでは佐賀海苔を食材に使った料理をメニューに加えています。
試食しているのはこのレストランに佐賀海苔を食材として提供している佐賀市川副町の「三福海苔」川原崚さん。
【三福海苔 川原崚 専務取締役(35)】
「海苔というと寿司とか和食とかそういうイメージがあると思いますけど、こういうイタリアンとか和ではない食でも使えるというのを(料理で)表現していただけるのはとても嬉しいです」
こちらは魚料理ですが…主役は魚ではなく海苔。
「海苔のソースを食べてもらうためにこの魚を選んだ」とシェフは言います。
カサゴに生海苔のソースをたっぷりとのせていただきます。
【三福海苔 川原崚さん】
「とても生海苔のいいところが出ていますね」
【リストランテ イタリアーノ エトゥルスキ 料理長・シェフ 岩城貴さん】
「素材が一級品ですよね。とにかく他のノリと比べものにならない香りの高さ、味わい。とにかく香りに惹かれました。日本の一番いい素材を使ってイタリア料理を表現したいと思ってノリを使わせていただいた」
佐賀海苔の販路を拡大するため、川原さんは毎月、東京に足を運んでいます。
【三福海苔 川原崚さん】
「佐賀海苔は産地にいるとなかなか気づかないんですけど、世界に通用するような食材だと私は思っていて、それをしっかり発信していくためにこの東京での営業活動をしています」
この日、川原さんは新規開拓のため東京・広尾のイタリアンレストランを訪ねました。
シェフとは初めての対面。
「生海苔」、乾燥させ焙煎した「バラ干し海苔」、「焼き海苔」の3種類の特徴を説明し、その場でシェフに食べてもらいました。
【古澤亭 シェフ 古澤正広さん】
「香りがやばいですね」
続いて生ノリは…
「おいしい。すごくフレッシュですね」
川原さんは、海苔が養殖されている有明海など佐賀の魅力も説明します。
実際に会って思いを伝えることが大切だと川原さんは言います。
【古澤亭 シェフ 古澤正広さん】
「見た目は普通のノリかなと感じたんですけど食べた瞬間にちょっと普通のノリじゃないと。料理人としての創作意欲がわいてきましたね」
さっそく、その夜、ノリを使った料理を試作してくれました。
【古澤亭 シェフ 古澤正広さん】
「生海苔を使ったブルスケッタなんですけどパンの方にも海苔をふんだんに入れたので…粉とノリの香りがしっかりしている」
さらにノリを使ったパスタの試作も。
ノリの香りと風味を生かしたシンプルな料理です。
【古澤亭 シェフ 古澤正広さん】
「トリュフと一緒なのかなって。使い方が。素材香りがすべて。トリュフもチーズ、バターシンプルな料理。そのイメージで」
シェフの反応も上々の佐賀海苔。
販路拡大は順調です。
一方で川原さんは常に不安を抱えています。
それは有明海の海況です。
少雨などで海の栄養が不足し海苔が黒くならない「色落ち」被害がここ数年続いているからです。
【三福海苔 川原崚さん】
「4年ぶりに日本一を奪還できたんですけど、この3年間っていうのは私たちも結構苦労した年ではありました。シェフの方も本当に美味しいノリを求められていますので」
三福海苔が扱っているのは「一番摘みのノリ」がメイン。
ノリを焼く温度を1枚1枚調整し旨味・香りを引き出す加工を行っています。
【三福海苔 川原崚さん】
「不作が続くこともありますので、これからは在庫量というか、美味しい(海苔がとれた)時にたくさん海苔を仕入れて安定して供給ができるようにできる限り努力をしています」
東京・赤坂にある高級中華料理レストランにも試食のため訪問しました。
【トゥーランドット 臥龍居 統括料理長 小澤善文さん】
「(海苔を使って)タチウオのいり焼きをしているんですけど、ノリのうまみと香りをいっきに絡めるというか」
「調味料が塩のみなんですね。そこにノリが入ってくるといっきに香りが広がるというか、味も広がる。いろんな感じで使えますよね」
関東では約150の飲食店と取引があり、半分以上の90店舗ほどが和食以外だということです。
飲食店での売り上げ、店舗数ともに5年前の約2倍になりました。
【三福海苔 川原崚さん】
「なかなか中華とはノリと結びつかない部分が私もあったんですけど、ノリの魅力もしっかり伝わる料理に仕上がっているかなと思います」
佐賀海苔の味を世界に広めたい。
地道に販路を拡大する川原さんの営業活動はこれからも続きます。
≪スタジオ・キャスター≫
川原さんが力を入れているのは飲食店への販路拡大だけではありません。
東京・渋谷のセレクトショップ(d47 MUSEUM)。店内には佐賀海苔の展示・販売スペースがあります。こうした棚の確保も川原さんの活動の1つです。
また今年は世界最高峰のチョコレートブランド「ピエール マルコリーニ」の新作に佐賀海苔がフレーバーとして使われスイーツでも注目を集めました。
今後、ヨーロッパでも販売されるということです。
