6月2日、東京都内で初めての電動キックボードの死亡事故が発生しました。

頭を打って亡くなったキックボードの男性は、ヘルメットを着用していませんでした。

都内のヘルメット着用率はわずか3%以下。
さらに、無料で貸し出しても誰も借りないという実態もFNNの取材で明らかになりました。

低すぎる着用率の背景と課題に迫ります。

手軽な移動手段として普及が進む電動キックボード。

しかし、2023年に道路交通法が改正されてから都内の車道で初めて死亡事故が発生したのです。

6月2日午後10時ごろ、東京・北区の交差点で自転車横断帯を走っていた電動キックボード「LUUP」と、右折しようとしていた軽トラックが衝突。

LUUPに乗っていた62歳の男性が頭を強く打ち、死亡しました。

警視庁によりますと、軽トラックを運転していた29歳の男性が、右折する際に安全確認を怠ったことが原因とみられています。

事故で死亡した男性が乗っていたLUUPは、全国1万7500カ所以上の場所にポートを設置する電動キックボードシェアの国内最大手。

2023年7月に道路交通法が改正され、電動キックボードが特定小型原付自転車に分類されると、16歳以上であれば運転免許がなくても車道や自転車道を20km/h以下での走行が可能となりました。

徒歩では時間がかかる距離も簡単に移動できることから利用する人も増えていますが、使用を巡っては問題点も指摘されています。

車道や歩道でのルール違反とみられる運転。

歩行者やドライバーなどからは「ルールを守って運転する意識が低いのかなとは思います。いつも危ないとは思いますけどね」「自転車より危ない。横をビューンといきなり来る。スピードが意外とあるし。ヘルメットかぶっていないじゃないですか、事故に遭ったときに危険なんじゃないかと」などの声が上がりました。

電動キックボードのヘルメットを巡っては6月、北区の事故で死亡した男性も着用せず、頭を強く打っていたことが分かっています。

実際に街を走る電動キックボードを見てみると、取材したこの日、ヘルメットをかぶり電動キックボードに乗っていた人は見つかりませんでした。

なぜヘルメットをしないのか、利用者に聞いてみると「まず(ヘルメット)持っていないですよね。普通に持っていないのと、夏暑いし髪形崩れるし『まあいいかな』と思ってつけていないです」「(ヘルメット着用は)努力義務だからですかね。僕自身が危険を感じたことがないから『なんか大丈夫っしょ』みたいな感覚でいるのかもしれないです」などの声が聞かれました。

電動キックボードや自転車ではヘルメットの着用が努力義務となっているため、かぶらなくても罰せられることはありませんが、命を守るヘルメットの着用率の低さが大きな課題となっているのです。

JAFが行った電動キックボードが時速20km/hで車と衝突する実験映像を見てみると、衝突の瞬間、体は電動キックボードとともに人形が前方へと浮き上がり、車のフロントガラスに頭を強く打ちつけました。

電動キックボードなどの特定小型原動機付自転車による都内の事故は、2024年244件、2025年は280件と増加傾向。

また、事故でけがをした部位別では、頭と顔が46%と半数近くを占めているのです。

事故から頭部を守るヘルメット。

しかし、電動キックボードなどでの着用率は全国で6.9%。
都内に絞った調査では2.6%と、さらに低い数字です。

この低い着用率は6月12日、国会でも議論に。

共産党・塩川鉄也議員:
特定小型原動機付自転車のヘルメット着用率が低いのはなぜか。

警察庁・日下交通局長:
乗用車ヘルメット着用が自らを守るために効果的であることが十分に理解されていないことや、乗用車ヘルメットを容易に利用できる環境が整備されていないことなどが考えられます。

共産党・塩川鉄也議員:
シェアリングサービス事業者に対して、特定小型原動機付自転車ヘルメットを常備するよう義務づけたらどうでしょうか。

同じくヘルメットが努力義務となっている自転車でも。

LUUPの死亡事故が起きた交差点で90分間、横断する自転車を定点カメラで撮影すると、自転車132台中ヘルメットをしていたのは13台と、10分の1程度だったのです。

こうしたなか、警視庁などは5月31日から7日間、都内の駐輪場やホテルなど7カ所でLUUP利用者や自転車に乗る人にヘルメットを無料で貸し出すキャンペーンを実験的に実施。

今回、FNNはその結果を独自に入手。

自転車は用意したヘルメット20個のうち9個を貸し出したといいますが、LUUPは14個中貸し出しはゼロという結果になったと判明したのです。

こうした実態について、フジテレビ警視庁担当の北山茉由記者は「意識が浸透していないという結果にはかなり衝撃を受けました。ヘルメットの着用が普及していないハードルとして警視庁の担当者は、出先で急にヘルメットを持っていないという状況や、他人が使ったヘルメットをかぶることへの抵抗感があると話していました。しかし、実際に死亡事故が起こってしまっているので、電動キックボードとヘルメットをセットで借りられる仕組みを作るなど、もう少し強制力を持たせる必要があるのではないでしょうか」と語りました。

私たちの取材に対し、LUUPはヘルメット着用を「強く推奨する」とした上で、「当社独自でのサービス利用時の義務化については現時点で具体的な決定はありませんが、利用者の安全を最優先事項としてヘルメット着用率の向上に向けた施策を継続的に検討・実施しています」とコメントしました。

命を守るために必要なヘルメット。
あまりにも低い着用率に、実効性のある対策が急がれています。