「令和にもなって手で書かせるなんて…」大学生開発の“全自動手書きレポートマシン”が本当にすごい!

カテゴリ:国内

  • レポートを手書き風に書いてくれる“夢のマシン”を現役大学生が開発
  • 実際にマウスで文字を書き「手書きフォント」までも作成する用意周到ぶり
  • ネットの要望に応え新たなバージョンを開発予定。就活生が喜ぶ“あれ”を手書き風に

学生時代の悩みと言えば、留年などをせずに卒業できるかどうか。

そのためには常に勉学に励み、科目や単位を取得しなければならないが、壁となるのが大量に課せられる課題だろう。担当教授によっては、手書きで提出しなければならないこともある。

手書きの理由は、内容の「コピペ」を防ぐためだったりするのだが、字が下手だったり複数の課題を抱えている場合は大問題だ。書き直しをさせられたときなんて、思わず「手書きっぽく書いてくれるものがあれば...」と考えたこともあるのではないだろうか。

なんと今回、そんな願いをマシンとして具現化した学生が現れたのだ。

きっかけは「令和にもなって、レポートを手で書かせるなんて間違ってる...!」

そんな“夢の機械”を製作したのは、現役大学生のたむ(@tamu_misw)さん。

「全自動手書きレポートマシン」と名付けられたこのマシンでは、PCで打ち込んだ文字データを紙に描写することができるのだ。こう聞くとプリンターでの印刷と勘違いするかもしれないが、文字を書くのは「ペンプロッター」と呼ばれる機械に備え付けられた、実際のペン。



つまり、文字データの信号に従って実際にペンが動き、手書き風の文字を書いてくれるのだ。

たむさんはこのマシンの製作過程をTwitterや動画投稿サイトで公開しており、「令和の時代にもなって、レポートを手で書かせるなんて間違ってる...!」などとコメントしている。

こんな意気込みで制作したマシンは、どのような仕組みになっているのだろう。
たむさんから提供してもらった動画を参考にしつつ、内容を紹介していきたい。

3Dプリンター駆使して部品から造形...本気度がすごい

たむさんがまず制作に取りかかったのは、ペンプロッターの部分。
設計ソフト「3DCAD」で設計した各パーツを3Dプリンターで造形して、組み立てていく。

この段階で既に本気度がすごい

そして土台部分を設置して、ペンを縦に動かす「Y軸」、横に動かす「X軸」が完成。この軸に取り付けたベルトや歯車などを、制御用のマイクロコンピュータ「Arduino」で動かす仕組みだ。最後にペンを取り付けて...「全自動手書きレポートマシン」が完成!

大きさはA4サイズを少し大きくしたような感じ

ペンプロッターは情報元になるデータさえあれば、さまざまなものを描けるという。
例えば、このようなイラストもデータ化してプログラムに組み込めば...

イラスト(左)(右)マシンでの描写

元のイラストと遜色がないレベルで、実際の紙に書き起こせた。

描写速度は書く内容などによるが、ペンの速度を遅くすると、描写の精密さもあがるとのことだ。

手書き感がなかったため、フォントもまさかの手作り

しかしここで問題となったのが、文字を描写するために必要なフォント。
このマシンでは、文字を線だけで描く「ストロークフォント」を使わなければならないが、無料で流通しているフォントでは“手書き感”がなかったという。

「ストロークフォント」には手書き感がない

たむさんがここでとったのは、まさかの行動。

フォントを構成する「ひらがな」や「カタカナ」「漢字」「英数字」などの2406文字を、タッチペンやマウスで実際に書き始めたのだ。しかも、文字をきれいにするため、同じ文字を複数回書いてその平均値をデータにする徹底ぶり。1文字につき3回程度書いたので、累計すると7000文字は手書きしたことになるという。

気の遠くなるような作業...

この専用フォントを採用して、「全自動手書きレポートマシン」に文字データを送ると...
手書き風のレポートが書かれていく! ペンを動かしているのはマシンだが、紙に描かれた文字は確かに手書きと言える描写。これまでの苦労がわかっているだけに、感動を覚えるほどだ。

近くで見ても確かに手書きっぽい!

ネットからは「手の込んだ手抜き」「割と真面目にほしい」などと、賞賛の声が相次いだが、なぜこのようなマシンを制作しようと考えたのか。たむさんに詳しい話を伺った。

製作者「手書きレポートにあらがってやろうと」

――なぜ「全自動手書きレポートマシン」を作った?

私が通う大学の理工学部には「実験」という授業があるんですけど、特定の学科ではその実験レポートを「手書き」で書かないといけないんですね...。令和の時代にもなって、まだ手書きを課してくる大学に嫌気が差しまして、「だったら、自分の持てる技術力を全て生かして手書きレポートにあらがってやろう」と思ったのがきっかけです。

制作を始めたのは8月中旬で、9月中旬に完成しました。

マシンと手書きの比較。文字の癖まで似ている

――制作へのこだわり、苦労などはある?

「“手書き感”のある文字を書かせる」ことですね。無料のストロークフォントだと手書き感が全くないので教授に見破られてしまいます。そこで、フォントを作成できるソフトウェアを自作して一からフォントを作りました。苦労はまさに、その手書きフォントの作成です。手書き感があり、きれいなフォントを作成したかったので、文字に関する論文や数学的技術を使い、自分の汚い手書き文字からきれいな手書き文字を生成しました。一番キツかったですね。

マシン本体は、設計した部品を3Dプリンターで印刷して組み立てるだけだったので、そこまで苦労はしませんでした。仕組み自体は昔からあるペンプロッターと同じですからね。動画編集は初めてでしたが、視聴者に分かりやすく、面白く伝えることを意識して作りました。

要望に応え、次は履歴書バージョンを開発予定

――マシンを使ってみた感想や周囲の反応は?

マシンでイラストを描写したとき、想像以上の精度だったので「これはいける」と思いました。その後は実際にレポートを印刷してみたんですけど、ペン先はブレることなく手書きフォントの座標通りの動きをしてくれたので、とても感動しました! 今後の学生生活で手書きレポートを課されたとしても、楽をすることができそうです(笑)。

また、「ペンプロッター」は数十年前からありましたが、プリンターの登場で姿を消しました。今の若い人の中にはペンプロッターの存在を知らないようで、周囲の人はペン先が移動して1画ずつ文字を描画していく光景に、新鮮さや面白みを感じているようでした。ネットでは、手書きっぽくするアドバイスもたくさんいただき、とてもありがたいです。「履歴書バージョンを作ってください!」という意見もたくさん寄せられたので、履歴書バージョンも作成します...。


――マシンで書いた課題は教授に提出した? する予定はある?

まだ提出していません。私の所属学科には手書きレポートはあまり課されないので、使う機会はほとんどないかもしれませんね。ただ、別の学科のレポートには手書きでなければいけないレポートもあるので、そちらの学科の生徒たちには、ぜひ使ってもらいたいですね。

将来の夢は「継続して使えるサービスを作れるITエンジニア」

――他に作成した機器などはある? 将来の目標や夢は?

普段はゲームやアプリなどを作っているのですが、今回はついでに「半自動洗濯物折り畳み機」も作りました。いい機会なので、Twitterには載せちゃっています。Twitterでは少し笑えるような電子工作作品などを投稿したいと思っています。将来の夢は決まっていませんが、人々が継続して使えるサービスを作れるような、ITエンジニアになれたら楽しそうだなと思っています。


――話題となったことをどう受け止めている?

話題になるとは思わずこんな経験も初めてだったので、少し困惑しましたが、たくさんの人に自分の作品を見てもらえたと思うと、とてもうれしかったです。これからも作品や動画の投稿を続けていきたいなと思いました。同じサークルに所属する友人や先輩からは「すごい...お前、有名人じゃん」、「どうやって作ったの?」などと言われることが多かったですね。

「半自動洗濯物折り畳み機」はシャツなどを畳んでくれる

「全自動手書きレポートマシン」は手書き風の描写をしてくれるだけではなく、たむさんの努力と技術力の結晶だった。

話題となったことで、マシンの存在を教授に知られることになるかもしれない。しかし、この意欲に免じ、“疑惑のレポート”を見つけた際には寛大な心で受け止めていただきたい。