今世紀に水没の危機!日本最南端・沖ノ鳥島のサンゴ移植プロジェクトを独自取材

カテゴリ:国内

  • 今世紀中に海面が1メートル上昇すると、最南端・沖ノ鳥島が水没の危機に
  • 水没すると、島の法的な地位やEEZをめぐる議論が浮上する可能性
  • サンゴの成長を促し、島を形成する取り組みも既に始まっている

日本最南端・沖ノ鳥島とは

東京都でありながら、日本の最南端に位置する孤島・沖ノ鳥島。
日本の国土面積を上回る約40万平方キロメートルの排他的経済水域を持ち、国土保全上非常に重要な島とされているが、キハダマグロなどが獲れる豊かな漁場としての一面も有している。

この島が今、水没の危機に瀕しているという。
島とは、国連海洋法条約で「自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるもの」とされているが、現在沖ノ鳥島は、北小島と東小島の2つが海面から数十センチ顔を出すのみとなっている。
また、サンゴで形成されているため脆く、波風による浸食を受けやすい。

そこで国土交通省は、鉄製の消波ブロックで小島の周囲を囲むなど、堅牢な護岸工事を施している。

迫る海面、地球温暖化により今世紀中に水没も!?

東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻 茅根創教授

沖ノ鳥島など環礁諸国の研究をしている、東京大学の茅根創教授に話を聞いた。

茅根創教授:
現在のままCO2濃度が上昇して温暖化が進むと、今世紀中に1メートル近く海面が上昇し、東小島・北小島は水没してしまう可能性がある。
(注※IPCC第5次評価報告書によると「今世紀中までの世界平均海面水位の上昇予測は、0.26-0.82mである可能性が高い」とされている。)

ーー水没すると、国土として認められない?

茅根創教授:
高潮位で水没してしまえば島でなくなってしまう。しかし、国土を失うのかという事については議論がある。
国連海洋法条約では「海図に記載された島を起点として排他的経済水域を定める」とも規定されている。
つまり海図が一度作られてしまえば、例え水没しても、法的な地位は持つと考える研究者もいる。

ただ、実際は陸地がなくなってしまうので、実質的な島としての機能は失われてしまうと私は考えている。
一度水没してしまうと、排他的経済水域も様々な議論にさらされてしまう。
島の維持は国として、国益として守らなければいけないものだと思う。

サンゴの増殖が再生の鍵に

画像提供:水産庁
画像提供:水産庁

茅根教授:
手をこまねいていたら海面は確実に上昇し水没してしまう。
そこで私たちは、沖ノ鳥島が、サンゴが積み重なってできた島という視点に基づき、サンゴの成長を促して島を作ろうという試みを行っている。

移植したサンゴが島の土台を作り、そのサンゴが壊れると波によって打ち上げられ、標高1~2メートルの島を作る。
この様なメカニズムで、サンゴ礁の州島が形成される。
沖ノ鳥島が、もともと持っていたサンゴで島を作る。自然の力を人間が手助けし、島の維持を図ろうというのが私たちの取り組みです。

茅根教授は国と連携し、早ければ2023年から沖ノ鳥島で実証実験を始めたいとしている。

(執筆:フジテレビ社会部国土交通省担当 岸信千世)