韓国人俳優の無断使用は当たり前? WEB広告の闇

「ウソの広告」会社を直撃取材

  • 韓国人俳優の写真を無断使用した広告が出回っている。
  • 会社を直撃したところ、広告は代理店に任せているという。
  • 当該記事は非公開になったが、その後、別の悪質な広告が現れた。

今の私たちの生活に欠かせないものとなった、インターネット。ネット上にある広告、web広告がいま、嘘と著作権法違反によって汚染されているのをご存知でしょうか。

Facebookにあがったウソの広告

日本では月間ユーザー数が2,800万人にのぼるFacebook。そのタイムライン上に韓国人俳優の写真が無断使用されている広告記事が出回っていました。問題の広告記事が扱っていたのは、男性の肌トラブルを防ぐ「A」というスキンケア商品です。

Facebookに載せられていた広告 ※画像を一部加工

広告記事の中では「大吾さん/28歳」が感想を寄せています。スキンケア商品Aを使用したことで肌がきれいになり、女性から好意を持たれるようになったというものですが、使われている画像を調べてみると全く異なる人物でした。

目元は加工されていますが「大吾さん」として使用されていたのは、韓国俳優のナム・ジュヒョクさん。彼女のように寄り添っている女性は女優のイ・ソンギョンさんだったのです。

女優のイ・ソンギョンさんのInstagramの写真が無断で使用されたものと見られます。

イ・ソンギョンさんのInstagram(広告で使用された写真と同じように筆者が目元を加工)

広告記事にはスキンケア商品Aの製造販売元として「株式会社B」という会社名が記載されていました。写真の無断使用の経緯を知るため、電話で取材を申し込みました。

しかし、事実関係に関して十分な回答を得られなかったため、記事に掲載されていた住所に直接足を運びました。

無断使用された韓国人俳優。まるでイタチごっこの世界

JR上野駅から徒歩5分。ビルの中に「株式会社B」はありました。「C研究所株式会社」という会社と同じフロアに存在しています。

エレベーターをあがりB社のオフィスを訪ねると、社員の1人がインタビューに応じました。

「基本的に代理店に任せているので、ウチでは広告記事の内容をチェックしていないですね。広告作成と運用自体は外部に任せています。これ、正直よくあるんですよ。よくあるって言ったらあれなんですけど…。『この記事、違うことが書いてあります』と問い合わせがあるんです。その時はチェックして『掲載を止めてください』とウチから作成した業者に言っています」

B社は商品の製造と販売だけを行なっていて、広告記事の作成や運用には全く関わっていないとのこと。後日、広告掲載の流れをメールで回答してくれました。

B社から広告代理業務を委託されているのが、同じフロアにあった「C研究所」だといいます。この2つは提携していて、C研究所が、広告代理業、各ASP会社(※)へのつなぎこみ、海外への販促業務等を行なっているといいます。

(※ASP:Application Service Provider。インターネットを利用し、アプリケーションをサービスとして提供するサービス業者のこと)

スキンケア商品Aの販促は、「B社」→「C研究所」→「各ASP会社」→「アフィリエイター(成果報酬型広告で収入を得ている企業や個人)」という流れになっているとのこと。

さらに、取材を続けていたところ、B社から次のような回答がメールで返ってきました。

「今回の件に関しては弊社としても重く受け止め、再発のないよう尽力していく所存です。ご連絡頂きました掲載メディア様に関しては記事の非公開、ならびに厳重注意・提携解除措置をとらせて頂きました」

委託業者が韓国人俳優の画像の無断使用を行ったと認める内容。この取材のあと、当該記事はネット上で「非公開」に変わっていました。

しかし、問題の解決には至っていませんでした。

数日後、大手ニュースキュレーションアプリでスキンケア商品Aの広告記事を発見し、確認したところ、確かに「大吾さん」の写真はなくなっていました。

ところが、その記事にも、目線を隠された別の男性の写真が掲載されていたのです。

この写真を調べてみたところ、今度は別の韓国人俳優チョン·ヨンファさんであることが判明しました。こちらもInstagramの写真を無断使用したようです。

このケースはさらに悪質で、あたかもニキビのある男性がコメントを書いたような印象を受けますが、注釈を読むと「左:加工なし 右:ニキビ加工 ニキビやニキビ跡があるだけでこんなにも印象が変わってしまいます」と書かれていて、写真を無断使用したうえ、勝手に加工をしていたのです。

大変許されがたい事態です。

(後編に続く/取材:板垣聡旨)