また、ベネッセ教育総合研究所は、「友人の数」と「学びの充実」や「成長実感」に関連が見られたとしたうえで、「友人の数」は 「学びの充実」をもたらし、それが「成長実感」につながっていることが分かった、と結論付けている。

友人の数と学びの充実(提供:ベネッセ教育総合研究所)
友人の数と学びの充実(提供:ベネッセ教育総合研究所)
友人の数と成長実感(提供:ベネッセ教育総合研究所)
友人の数と成長実感(提供:ベネッセ教育総合研究所)

2020年度入学生の「成長実感ない」割合が多い理由

今回の調査では「とくに2020年度の入学生に成長実感がもてていない学生が多い」ことが分かった。この理由としては、やはりコロナ禍が関係しているのだろうか。

また、同じく、コロナ禍に入学した“2021年度入学生”は、“2020年度入学生”と比べると、「成長実感がもてていない学生」は少なく、「学内の友人の数」の「いない」の比率も小さい。こちらはどのような理由が考えられるのか?

ベネッセ教育総合研究所の主席研究員・木村治生さんに話を聞いた。

――「とくに2020年度の入学生に成長実感がもてていない学生が多い」。この理由として考えられることは?

成長実感は「正課(大学の授業、とりわけ能動的な学び)」と「正課外(友人関係、サークル活動など)」の活動が関連しています。2020年度入学生(調査時点の2年生=現在の3年生)は、入学時に新型コロナウイルスによる休校を経験しています。

また、大学はオンライン授業の活用により、登校自体がかなり少なくなりました。2020年度入学生が1年生だった時の平均登校日数は週1.8日です。サークル活動ができず、友だちを作るきっかけが少ない状況でした。

2019年度以前(調査時点の3年生=現在の4年生)の入学生は、コロナ前の入学だったため、友だちを作ることができた後にコロナを迎えています。

また、2021年度入学生(調査時点の1年生=現在の2年生)は、以前ほどではありませんが、登校日数がかなり回復していて、友だちが作りやすい状況になっています。登校しない分、オンライン授業が多かったのですが、オンライン授業は大学側も、まだ試行錯誤をしている段階にあり、能動的な学びを行うまでの質が担保されていません。

以上のような理由から、とくに2020年度入学生に成長実感がもてていない学生が多く出現していると考えられます。

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――「学内の友人の数」が「いない」比率は「とくに2020年度入学生にその傾向が顕著」。こちらはどのような理由が考えられる?

2020年度入学生の1年生のときの登校日数が、極端に少なかったということが一番に考えられます。

友人ができるきっかけについての質問では、「1年生のときの授業」「部活動・サークル」「入学時のオリエンテーション」「ゼミ」などの比率が大きく減少していて、コロナ禍による休校やオンライン授業の増加が、その理由として考えられます。

2020年度入学生は「SNSで頻繁にやりとりする友だち」も少なく、リアルな友だちが少ないとSNSでのやりとりも減ることが分かります。