――同じく、コロナ禍に入学した“2021年度入学生”は、“2020年度入学生”と比べると、「成長実感がもてていない学生」は少なく、「学内の友人の数」の「いない」の比率も小さい。この理由としては考えられることは?

文部科学省の指導もあり、2021年からはコロナ感染対策をしたうえで、対面での授業を行うようになりました。社会的な風潮として「ウィズコロナ」を考えるようになったこととも、関連していると思います。

また、大学側が2020年の1年間の状況を学んで、2021年度入学生には十分な配慮を行ったということもあると思います。


――「友人の数」は「学びの充実」をもたらし、それが「成長実感」につながっている。これはなぜ?

大学での学びは、同じ関心や目標をもつ仲間との学び合いが、成長の重要な要素です。探究活動における協働、友人の取り組みを見て学ぶことや情報交換すること、切磋琢磨することなどは、大学ならではの経験です。

「友人関係」と「学びの充実」には関連があります。友だちが多い方が、学び合う機会が多いためだと思われます。「学びが充実」することで、「成長を実感」するものと考えられます。

他者と共に学ぶこと、他者から学ぶこと(ソーシャルラ―ニング)は、大学生に限らず成長につながります。

コロナ禍でダメージを受けている学生に支援が必要

――今回の調査結果をどのように受け止めている?

「友だちの数が減った」ということを、とても大きな問題だと捉えています。人間は社会的な存在であり、友人関係が遮断されることで、多くの経験を失ってしまいます。

今の大学3年生は、友だちづくりが十分にできずに、オンライン中心の授業を受けただけで、そのまま就職活動に入っていく学生が相当数います。彼らに対する配慮が必要と考えます。

一方で、コロナ禍に対しては、7割が「プラスだった」「プラスでもマイナスでもなかった」と答えていて、「マイナスだった」は3割にとどまります。

コロナ禍に対する評価(提供:ベネッセ教育総合研究所)
コロナ禍に対する評価(提供:ベネッセ教育総合研究所)

コロナ禍のダメージも、学生によって異なっています。自由な時間で自分の将来を深く考えた、新しい挑戦ができたという学生も、一定の割合で存在します。

大学側が、マイナス面が拡大しないように努力をしてきた成果でもあるでしょう。その成果を前向きに認めつつ、ダメージを受けている学生に対しては支援をしていく必要があると考えます。