韓国・慶尚北道で大規模な山火事が相次ぎ、26日までで22人が死亡、約2万6000人が避難している。消火活動は難航し、消火ヘリの墜落や避難中の車の爆発事故も発生。世界遺産にも火の手が迫り、1300年の歴史を持つ寺院が全焼するなど文化財への被害も深刻化している。
「風が恐ろしく強い」山火事の被害拡大
韓国で大規模な山火事が相次ぎ、観光客に人気の世界遺産をも脅かしている。

被害が深刻な南東部の慶尚北道では26日、山からは白煙が立ち上る中、集団で避難する人たちも。高速道路のすぐ近くでも激しく燃えていて、運転手の目の前まで火の手が迫ってくる勢いだ。

住民は「風が吹いたら炎もこっちに来て、不安で眠れないです」「風が恐ろしく強く吹きました。ふらふらして歩けないくらい」と話す。

強風や乾燥の影響で消火活動は難航している。焼失面積は約1万7000ヘクタールを超え、収束の見通しは立っていない。
慶尚北道では、消火にあたっていたヘリ1機が墜落する事故が発生し、操縦士1人が死亡した。また、介護施設の職員や入所者が車で避難中に火が車に燃え移って爆発し、3人が死亡した。

当局によると、これまでに22人が死亡、19人が重軽傷を負ったという。
文化財など200カ所以上焼失…世界遺産に迫る火の手
さらに、強風にあおられ急速に拡大する山火事は世界遺産にも迫っている。
慶尚北道の安東市にある河回村(ハフェマウル)は、2010年に世界文化遺産に登録された村で今も人々が暮らし、かやぶき屋根を中心とした朝鮮王朝時代の伝統家屋が並んでいる。その美しい景色は観光客にも大人気のスポットだ。

火の手は直線距離で河回村の約5kmまで迫ってきていると言い、住民に避難が呼び掛けられた。同じ地域では、すでに文化財の被害も相次いでいる。
25日には、1300年以上の歴史を誇る慶尚北道を代表する寺の1つ孤雲寺が全焼した。建物は山火事で焼け落ち、がれきだけが残されていた。

現場では「私たちの寺院を非常に誇りに思っています。古い寺院なので焼失してしまったのは、残念で心が痛みます」と悲痛の声も。
不幸中の幸いで内部で保管していた文化財は、火の手が迫る前に別の場所へ移動させたという。

これまでに住宅や寺院、文化財など200カ所以上が焼けたほか、2万6000人余りが避難するなど被害が拡大している。
(「イット!」3月26日放送より)