ウクライナ侵攻後、最大規模の攻撃を行ったと発表したロシア軍。マリウポリ“最後の砦”への攻勢も強めています。

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ロシア国防省 コナシェンコフ報道官:
さらに抵抗を続ければ、全滅させる

“無差別攻撃”の予告と取れる脅しを受けながら、ウクライナのアゾフ大隊は「アゾフ大隊は諦めずに最後まで戦う」と述べ、マリウポリでの徹底抗戦を決意。

ウクライナ側が立てこもる製鉄所の地下には、市民約1000人が避難。中には赤ちゃんを抱える母親や子どもたちも。このマリウポリが“陥落寸前”と言われる中、ウクライナの首相はー

ウクライナ シュミハリ首相:
われわれは最後まで戦う。降伏するつもりはない

ゼレンスキー大統領も「われわれは戦います。ウクライナは何一つ諦めない」と主張。

しかしその一方で、現地メディアによると市民の犠牲者は増え続け、マリウポリでは、これまでに約2万2000人以上が死亡したとされています。

この状況下でも徹底抗戦の構えを崩さないウクライナ。

その背景にあるとされるのは、ソ連時代の“飢餓ジェノサイド”。ソ連時代の忘れがたい悲惨なトラウマの歴史。めざまし8では、ウクライナが「絶対に降伏しない理由」を解説しました。

ウクライナが抱えるトラウマ「飢餓ジェノサイド」とは?

多くの犠牲者を出しながらもウクライナはなぜ「絶対に降伏しない」のか?

背景には “トラウマ”にもなっているウクライナの歴史がありました。理由の1つ目が「旧ソ連時代の“飢餓”」です。

1932年~33年に起きたホロドモール。ホロドは「飢え」モールは「疫病」を意味します。これによって、約400万人が死亡したとされています。

ただ飢餓で命を落とした訳ではなく、“ジェノサイド”「大量虐殺」があったと言われています。

なぜこのような事態になってしまったのでしょうか?

当時、1930年代というのは世界的に大恐慌、不況でした。そんな中、ロシアは経済発展を遂げていました。なぜ、ロシアが発展を遂げられていたのか?

そこには、ロシアが、ウクライナなどでとれた農作物を強制的に徴収して、それを諸外国に輸出し、外貨を得ていたという背景があります。“強制的”ということで、ウクライナの人にとっては、自分たちが食べる分をも取られて、命が奪われていきました。

さらに、人々が飢えて亡くなるまでに“強制的に食糧を奪った方法”も非常に残酷なものでした。

ウクライナ研究の第一人者、神戸学院大学・岡部芳彦教授によると、共産党メンバーが監視し“罰”を与えていたといい、食糧を隠している者には“死刑”や、穂を刈るだけでも“10年の刑”になることも。

さらに、逃げられないように「国内パスポート制」を導入して農民の移動を制限し、食糧が不十分なまま強制労働を強いられました。

ウクライナ研究の第一人者 神戸学院大学・岡部芳彦教授:
国内パスポートというのもありましたけど、農民の人たちに逆にパスポートが与えられなくて、無い人が移動できないという状況に追い込まれたこともありました。虐げられた、特にウクライナの人はそれが多かったというふうに言われています。“トラウマ”ということもありましたけども、これは日本語で言えば心の傷です。ホロドモールですね、1930年初頭の危機はウクライナ人にとって共通した心の傷になっているのではないかなと思います。

ウクライナは、“ヨーロッパのパンかご”と呼ばれるほど、小麦が豊かな国です。

ヨーロッパ第3の国土、その国土の半分が平野で、その大地は“肥沃な黒土・チェルノーゼム”養分を含んだ豊かな地、だからこそ小麦がたくさんとれます。

その上、ウクライナの国旗も鮮やかな青と鮮やかな黄色。これは、空と小麦を表している2色のカラーになっています。

在日ウクライナ人の国際政治学者・グレンコ・アンドリーさんに話を聞くと、「ウクライナ人は昔から農耕民族であり、ヨーロッパでの小麦生産に誇りを持っている」と話します。

ウクライナ研究の第一人者 神戸学院大学・岡部芳彦教授:
1970年に公開された「ひまわり」というウクライナの映画があるのですが、ウクライナで撮影された映画。ヘルソンなどで撮影されたと言われていますが非常に美しい国です。僕も一言でウクライナを表現しろと言われると、陽気で明るく美しい国、おいしい国ウクライナと言ってきましたけども、ウクライナ郷土料理のボルシチも料理もおいしい国です。ただ、もしかすると今回の戦争で初めてウクライナの現地映像を見たという視聴者の方も多いかもしれません。
僕は35回以上ウクライナに行っているのですが、僕にとっては今回の光景は全く信じられなくて、日本から直行便がないからまだ見つけられてないだけで観光地としても日本人に人気が出てもおかしくない非常に魅力的な国ですね。だからこそソ連とか今はロシアに狙われているのかもしれません。

ロシアに国を奪われる恐怖というのをウクライナの方は抱えています。

キーウのクリチコ市長も「私の祖母の兄弟姉妹がホロドモールにより命を落とした」と発言。人為的な飢饉により、人が少なくなった地域にロシア人が入植していきます。

これらの経験から、二度と繰り返したくないゆえにウクライナでは法律を制定。2006年「ホロドモールを大量虐殺と認める法律」です。「大量虐殺ではないと否定すると罰金」と定められるほどの法律で、ウクライナの強い意志を感じます。

“プーチンは第二のスターリン”独裁者2人の共通点は?

絶対に降伏しない理由、2つ目は「プーチンの影にスターリン」。

グレンコ・アンドリーさんは「プーチンはスターリンの生まれ変わりなのではないか」と指摘をしています。2人の共通点を見ていきます。

2人の共通点はともに独裁者。

スターリンは29年、プーチンは23年目で、1人で権力を持ち続けています。

侵攻するときの手法も似ています。プーチンは再三「ウクライナの非ナチ化」という言葉を使ってウクライナを攻めていますが、スターリンも「ナチスドイツの非ナチ化」と同じでした。

また、国民に対しては、スターリンは反体制派などを「国民の敵」と表現すれば、プーチンは欧米志向のロシア人を「国の裏切り者」と表現しています。

ウクライナ研究の第一人者 神戸学院大学・岡部芳彦教授:
実は、独立心の強かったウクライナというのはソ連に組み込まれたのが一番遅い地域だったんですね。その独立心をくじくためにスターリンが起こした人工的な飢饉がホロドモールだったのではないかという説もあります。また、ロシア帝国そしてソ連の300年の支配の中で、ウクライナ語自体を禁止するという動きも10回以上ありまして、ウクライナ人はウクライナ人でなくなってしまうような政策をとられてきました。今回の戦争で、プーチン大統領はウクライナの非ナチ化という言葉を挙げているんですけども、最近ロシアの国営通信では非ナチ化を超えて非ウクライナ化しないといけないんじゃないかという、ウクライナ人でなくなってしまうというような危機感からウクライナの人たちは強い気持ちで抵抗しているのではないかというふうにも考えています。

国歌に刻まれた“反独裁魂”ウクライナの強い意志とは?

ウクライナは長い期間、ロシアに虐げられていた結果、今回の強い意志、抵抗に繋がっているのかもしれません。その抵抗の声がウクライナの国歌にも現れています。

ウクライナが絶対に降伏しない理由、3つ目は、国歌に刻まれた“反独裁魂”です。

歌詞を日本語に訳すと、
『誉れも自由も若い兄弟にはまだ運命が微笑むだろう
敵どもは陽のもとの露のごとく滅び去り
我らは兄弟は国の主となる
魂と体を自らの自由に捧げ
そして我らは兄弟はコサックの子であることを知らしめよう』

最後の部分、コサックの子であるということをわかってもらおうと訴えている。「コサックの子」とはどういうことなのか、詳しく見ていくと…

14世紀から16世紀にかけてウクライナに住み着いた自由を求める農民らの自治集団がコサックと呼ばれていました。

グレンコ・アンドリーさんによると、当時から全体会議、今で言う選挙のようなもので首領を選んでいた。私たちは、押さえつけられるのではなく民主的に動いてきた国なのだということを世界に知ってもらいたい、そういう思いが国歌に込められているのだといいます。

だからこそ、ウクライナは独裁に対する自主独立の気風をもっているのです。

ウクライナ研究の第一人者 神戸学院大学・岡部芳彦教授:
ウクライナ人にとってウクライナ国歌というのは単なる国歌ではなくて、一言で言うと魂の根底から湧き上がる、あるいは、ほとばしる叫びのようなものではないかというふうに思います。歌詞から見ても分かるとおり自由と独立。自由はロシアにもあまりないわけですけれども、ウクライナで「自由と独立」は非常に大事でして、人間の尊厳や賛歌として歌っているのかもしれないと考えることはあります。

“相容れない”ウクライナとロシアの“落としどころ”はないのでしょうか。

ウクライナ研究の第一人者 神戸学院大学・岡部芳彦教授:
戦争に落としどころがないというのが正直なところです。この戦争の原因が、NATOの加盟問題だったかどうかなど、今は関係なくて、我々が忘れてはならないのは、そもそもロシアの侵攻がなければこの戦争が始まることはなかったということだと思います。その意味では、この戦争の落としどころをあえて挙げるのであれば、プーチン大統領に戦争をやめさせること。プーチン大統領が戦争をやめると決意することです。そのための努力を我々日本人としてもできる限りのことをするというのが大切なのではないかなというふうに考えています。

(めざまし8「わかるまで解説」4月20日放送より)

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