連日お伝えしているしずおか総決算。最終日の12月25日は2025年も列島を襲った猛烈な暑さについて。動物たちも夏バテし、農作物は高温障害などが深刻化する中、農家も対応に頭を悩ませました。
熊崎結萌アナウンサー:
午前10時過ぎの静岡市内です。強い日差しが降り注いでいて、立っているだけでも汗が噴き出てきます
鈴木衣緒里 記者:
静岡市葵区、時刻はまだ午前10時前なのですが、あちらの気温計、既に39℃を示しています
2025年も猛烈な暑さに見舞われた日本列島。
静岡県静岡市では8月6日に国内の観測史上2位タイとなる41.4℃を記録しました。
男性:
本当に40℃になったと思い、ちょっとびっくりした
男性:
耐えられない暑さ
猛暑の影響を受けたのは人間だけではありません。
市の瀬牧場・市瀬晶菜さん:
すぐそこにいる牛は暑さでバテてしまって、肩で息をして呼吸が荒くなっている状態。耳が落ちて“しゅん”としていて元気がない
飼育員:
本当はもっと元気がよく、おやつを奪い合うくらい元気がいい。きょうは見ている感じ。夏バテ気味の印象は受ける
動物たちもぐったり。
また、農作物も…
佐野史洋さん:
7月中旬に実がなり始めた頃、暑さも厳しくなってきた頃、だんだん枯れていった
高温障害により、売り物にならない野菜や果物が続出しました。
こうした中、現在、収穫の最盛期を迎えているみかん。
望月計利さん:
大玉傾向だが味は順調においしく育っている
静岡市清水区の望月計利さんは近年、夏場の暑さや強い日差しがもたらすみかんの日焼けに頭を悩ませてきました。
望月計利さん:
軽い日焼けは出せる(出荷できる)が、ひどいのは皮が固くなってしまい、皮の下の果肉にまで被害が及ぶため出せない
そこで、2025年から取り入れたのがホワイトコートと呼ばれる農薬です。
望月計利さん:
太陽光を反射して実の果面の温度が3℃~5℃くらい下がるので日焼けを防止できる
元々はチャノキイロアザミウマという害虫対策の殺虫剤として利用されていましたが、みかんの日焼け対策としても効果があることがわかり、2024年、農薬に登録されました。
望月計利さん:
これ(ホワイトコートを)やるとやらないとでは精神的にも収入の面でも違う。対策をしていることで日焼けが起きないので生産量が増えるし、廃棄するものが減る
多い年には実ったみかんのうち、3割ほどを廃棄せざるを得ませんでしたが、2025年は約1割ほどで済んだという望月さん。
これまで日焼け対策といえば枝を切るなど労力のかかる作業ばかりだっただけに、スプレーの噴霧だけで済むホワイトコートは人手不足や高齢化に悩む農家にとって、まさに救世主です。
望月計利さん:
白斑を除去しないと出荷できなというところがちょっとキーポイントだが、それを除けばやらない選択肢はない
このため、県も大きな期待を寄せています。
県農業戦略家・中村明弘 主幹:
簡易な方法で被害を抑えることができれば、農家の生産・収入を安定させることもできるので、有効・有望な手段ではあると思う
農水省の統計によれば、2024年のみかんの収穫量は8万8500トンと全国2位を誇る静岡県。
一方で、現在のペースで温暖化が進んだ場合、21世紀の中頃には静岡がみかんを作れない土地になると言われているだけに、新たな日焼け対策がいま注目されています。