人と自然の営みを映像で綴る「ジオグラフィックとやま」
16日は、日本で最も広大な扇状地を誇る黒部川扇状地を見渡せる山に上りました。
水面を写すさわやかな新緑と五月晴れの空、富山県入善町の最も標高が高い山負釣山に登ります。
木陰に可憐な白い花、チゴユリが迎えてくれます。
青々と茂るブナ林のトンネル、グリーンシャワーが降り注ぎます。
七合目で眺望が開けました、一際高くそびえ立つ朝日岳は、朝日町の町名の由来となった山です。
季節を遡るように早春の花々が息吹き、遅れてきた山の春を謳歌しています。
標高差600mを登って山頂に到着しました。
山頂からは、立山連峰北部の峰々、残雪と鮮やかな緑のコントラストが移ろう季節を感じさせてくれます。
眼下には、日本随一の大きさを誇る黒部川扇状地、「日本一美しい扇状地」と称され、一面に水を湛えています。
かつて、扇状地の水田は、黒部川の雪解け水による低水温と水はけのよい土壌だったため、稲の収量や米の質が、全国的にも低い水準だったといいます。
今から約70年前に土壌や用水路の改良が行われたことで、稲の収量と米質が改善され、この美しい風景が今も、人の営みによって保たれています。
自然と人の営みが作り上げた奇跡の風景です。