閉山された富士山で相次ぐ遭難。
ついに救助有料案が浮上しました。
16日、取材班が向かったのは富士山。
車で行ける5合目は、絶景を楽しもうと訪れた多くの外国人観光客でにぎわっていました。
16日はあいにくの天気でしたが、フランス人観光客は「富士山を見に来たけど霧で見えない。でもきれいだからいい!」と話しました。
現在、富士山は閉山中。
夏山期間以外の富士山の登山道は、道路法で全面通行止めとなっています。
しかし、入山届を出したという男性が警備員に止められている様子も見られました。
警備員は「無謀登山の声掛け。注意や警告をしている」と話します。
オフシーズンの登山はあくまで自己責任が原則。
にもかかわらず、万全な準備をしない登山者たちが相次いで事故を起こしているというのです。
2024年11月、ベテラン登山者が富士山の頂上付近で撮影した映像があります。
一面雪に覆われた富士山。
強風が吹き付け、ひとたびバランスを崩せば崖から滑落しかねません。
ベテラン登山者によると、この場所で初めて冬登山をした日本人が、足を滑らせ事故を起こしたといいます。
後を絶たない閉山した山での事故。
4月22日にも、富士山で中国人大学生の男性が遭難。
山岳救助隊にヘリで救助されました。
しかし、男性は4日後に再び山頂を目指します。
理由は、置き忘れた携帯電話を取りに行くため。
そして、またしてもヘリで救助されたのです。
16日の富士山には、頂上まで登り、下山してきた中国人登山客の姿がありました。
中国人登山客は「(Q.中国人が救助されたことについて知っている?)事故は準備や装備が足りないのが原因だね。経験も足りなかったと思うね」と話しました。
閉山の時期に遭難が相次ぐ中、富士山のふもとの自治体では救助有料化案が浮上しています。
静岡・富士宮市 須藤秀忠市長(9日):
(救助は)遭難者負担にすべきではないかと思う。自己責任だと。
静岡県 鈴木康友知事(13日):
救助はしなければならないと思うが、その際の費用は議論の余地はあるかと思う。
一方、山梨県の富士吉田市の堀内茂市長は、「燃料費などを含めて60万から80万円かかるというケースも多々ある。これらの費用も全て県民の税金から賄われる」と話しました。
外国人の遭難を巡っては、3日前にも北海道・倶知安町にある蝦夷富士と呼ばれる羊蹄山でイギリス人の男女が遭難。
2人の服装は半袖とハーフパンツでした。
35年間にわたり、富士山などで山岳救助を行った経験を持つ専門家は、冬山という厳しい環境では、隊員たちが2次遭難する危険性があると指摘します。
南アルプス茶臼小屋 静岡市山岳連盟・名倉健児副会長:
(富士山は)独立峰で遮る物がない。日本一強い風が吹く場所。春はアイスバーン状態になって非常に滑りやすい。冬はすごく気温が下がる。氷点下30度ぐらいになる。救助隊員も自分の身を守るのが精いっぱい。命がけ、本当に命がけ。一歩間違えれば救助隊員も(崖に)落ちる。