2024年度に福島県内を“ホープツーリズム”で訪れた人は1万9000人を超え、事業を開始した2016年以降、過去最高となった。
“ホープツーリズム”は2011年の東日本大震災で地震・津波・原子力災害の複合災害を経験した福島のありのままの姿や、復興へと向かう現状、災害からの教訓を学んでもらうための教育ツアー。現状や教訓を伝える案内人とともに、見学だけでなく体験を含んだプログラムを通して学びにつなげてもらうものとなっている。
福島県によると、2024年度にこの“ホープツーリズム”で県内を訪れたのは438団体・1万9071人で、件数・人数ともに前年度から1割あまり増加し、過去最高を記録した。新型コロナの感染拡大が落ち着いたことで全国的に教育旅行が回復していることや、県内の訪問を希望する団体等へのきめ細かなツアーの提案などが参加者を押し上げる要因になったとしている。
“ホープツーリズム”をめぐっては、県内の企業や災害伝承館などが取り組みを実施していて、語り部による伝承の実施や、震災後に建設された企業の見学、再生可能エネルギーを利用した復興の取り組みなどを紹介し、2024年度は海外からも70人ほどが参加したという。
福島県は今後も“ホープツーリズム”を推進する計画で、2026年には大型観光キャンペーンであるふくしまデスティネーションキャンペーンも控えていることから「震災や原発事故の経験を、持続可能な社会・地域づくりを考えるきっかけにしてほしい」としている。