福井県内の新たな魅力を再発見する小さな旅「小旅」のコーナーでは今回、5月23日から3日間、33年ぶりの御開帳(おかいちょう)が行われる勝山市の平泉寺白山神社を案内します。そもそも御開帳とは何か、苔むす白山平泉寺の風景と共に歴史をひもときます。
一面の苔が緑色に輝く「苔寺」
1300年の歴史を誇る勝山市の白山平泉寺。杉の大木が連なる参道を進むと、一面の緑が広がります。平泉寺は『苔寺』とも言われ、境内を覆うコケは今の季節は特にしっとりと水を含んで緑色に輝きます。
緑のじゅうたんの奥に見えるのが江戸時代に作られた「拝殿」です。その後ろには平泉寺白山神社の本社があり、今回33年ぶりに御神体が公開されるのです。長く閉ざされてきた扉が開き、祭られている白山の女神が姿を現します。
歴史探遊館まほろば・柏村克己副館長:
「今回御開帳されるのは、河上御前の像といわれている。ここが一度焼失した時にお坊さんたちが見つけ出して、こちらに来ていただいた神様と聞いている。皆さんの願い事を叶えるためにわざわざ出てきてくださるようなイメージと考えてもらえれば」
江戸幕府が33年間隔での御開帳を定める
普段は目にすることのない神仏などを公開する「御開帳」。享保5年(1720年)に江戸幕府が御開帳を33年間隔で開くよう定めました。平泉寺の三十三年御開帳の歴史は1828年に始まり、明治、大正、昭和、平成とこれまでに6回開かれています。
勝山城博物館の展示資料によりますと、江戸時代にも多くの参拝客が訪れてにぎわったようで、地元住民には火事に気を付けること、喧嘩や長酒をしないことなどが申し渡されたという記録が残っています。
また、明治27年の御開帳に合わせて作成されたとみられる境内の図もあり、参道の様子も詳しく描かれています。
33年前、平成4年の御開帳には約14万8000人が訪れ、本社の扉の奥に座る河上御前に
多くの参拝客が手を合わせていました。
当時の平泉洸宮司は「つい昨日まで日本の平均寿命は50年でしょ。一生のうちに一度御開帳に会える。物心ついてからを見るとほぼ一生に一度御開帳に会える。二度会える人は余程運の強い方」と話していました。
数々の社も御開帳される
平泉寺の境内には、御開帳を記念して奉納された明治、大正の灯篭が残り、御開帳の歴史を今に伝えています。
今回の御開帳では、本社の両側にある越南知社、別山社、さらに安産の神様を祭る三の宮、境内にある数々の社も御開帳が行われます。
歴史探遊館まほろば・柏村克己副館長
「なかなかない機会なので、敬虔な気持ちで神様に真剣にお願いしていただければ。すごく歴史が深く自然も良いところなので時間をかけてゆっくり楽しんでほしい」
33年に一度の御開帳。荘厳な景色の中、神様との縁を結びに白山平泉寺を訪れてみてはいかがでしょうか。
【平泉寺白山神社】
アクセス:国道157号線の「猪野」の交差点を東に曲がって直進した場所
※御開帳がある23日から25日は平泉寺周辺は通行止め
シャトルバス:勝山駅、越前大仏、ジオアリーナから