静岡県伊東市では5月25日、任期満了に伴う市長選挙が行われます。これまでに現職と新人の2人が立候補を表明する中、注目されているのが“ある公共事業”の行方です。

人口 約6万4000人。伊豆半島の東海岸に位置する観光の街・伊東。

市民:
伊東の街に観光客がたくさん来てくれるような観光対策を望んでいる

市民:
子供も減っているから何とも言えないが、子育てしやすいような街が出来れば良い

市民:
伊東市は観光で生活しているから、もう少し観光を盛り上げてほしい

これまでに市長選への立候補を表明しているのは2人。

現職で3期目を目指す小野達也さん(62)と新人で市議会議員の田久保真紀さん(55)です。

今回の選挙で最大の争点と目されているのが、市が計画する新たな図書館の行方。

現在の図書館が完成から40年以上と老朽化が進む中、市は2024年5月に工事に関わる入札を実施。

しかし、見積もりに基づき総事業費を37億円に設定したものの、人件費や建築資材の急激な値上がりから手を挙げる業者はおらず、延べ床面積を当初の計画から2割縮小し、蔵書の数も5万冊減らした上で事業費を5億円余り増額しました。

市は総事業費42億5000万円のうち約17億円については国の補助金を活用しつつ、残りは行政の貯金に当たる財政調整基金と借金で賄う考えです。

このため、5月8日に行われた公開討論会でも新図書館に関して白熱した議論が交わされました。

田久保真紀 氏:
優先順位の問題として、なぜいまこの時期に真っ先にやらなければいけないのが図書館なのかということに尽きる。経済状況を含めて、観光についても伊東市は決して非常に豊かで潤っている状況とは言い難い面もある。
そういった中でなぜいま新しい図書館なのか。財源の負担が無いから良いという考えで取り組むのは、少し考えが違うのではないか

「民意が反映されていない」との思いから計画は中止し、市民が本当に求めているものを探るべきという考えを持っている田久保さん。

これに対して、小野さんは従来の図書館とは一線を画する施設であり、国の補助金が活用できるいま着手しなければならないと主張します。

小野達也 氏:
表現としては図書館の機能が付いた街のミュージアム。1階にカフェを入れ2階-3階にはローティーンや子連れの人が雨でもキッズコーナーで遊べる施設になる。
図書館機能は最上階にしっかりしたものができ、みなさんが集える、伊東にいままで無かった施設が国の援助を得て出来ると言うことになり、こんなに大きなチャンスは無いと考えていて、やはり積極的に取り組むべき

新たな図書館について市民はどのような考えを持っているのでしょうか?

市民(高校生):
元々(図書館を)使っていたわけではないが、キッズスペースやカフェができたら、もっと利用者が増えていいのではないか

市民(成人男性):
(新)図書館は反対。子供が少なくなっている伊東市で図書館が要るのか。図書館を作るのであれば温泉施設を作ってほしい

市民(高校生):
今の図書館もだいぶ古いので新しい形にしてほしいと思うが、住んでいる場所が宇佐美という離れたところなので、中心部と宇佐美、伊豆高原に分館をしっかりと整備してほしいと思う

市民(高校生):
私たちの世代は自習室などに困っている学生が多いので、自習室を多く作ってくれるところでは、学生にはとても助かることだと思うし、図書館が大きくなれば子供たちも集まって来ると思うので、すごく良い案だと私は思っている

市民(成人男性):
図書館を作ることはもちろん必要なことだと思う。いま問題になっているのが42億円の建設費。そこまでの建物が必要かどうかということ

現在の計画では2025年度中に着工し、3年後の開館を目指している新図書館。

少子化対策や防災強化、観光振興といった課題もありますが、様々なモノの値段が上がる中で税金をどのように使うべきと市民が考えるのか…。

伊東市長選は5月25日に投開票が行われます。

テレビ静岡
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