出雲市の女子サッカーチーム「ディオッサ出雲」で2024年に起きたブラジル人選手に対するハラスメント被害の問題で、上部組織が出した判断に対して選手側とクラブ側それぞれが記者会見を開きました。
選手側は不適切な判断と批判、クラブ側は選手側に対峙する姿勢を示し、問題解決にはまだ紆余曲折がある状況が明らかになりました。

この問題は、「ディオッサ出雲FC」のブラジル人女子選手2人が、チームの監督やコーチから練習中や試合中に何度もポルトガル語で“男性器”を意味する言葉を投げかけられるなどのハラスメント行為を受けたと訴えたもので、2人は2024年11月にチームが所属するなでしこリーグに告発し、その後退団しました。

なでしこリーグでは調査の結果、監督に対して活動停止や禁止といった重い罰の可能性があると判断、上部組織の日本サッカー協会に通知しました。
しかし日本サッカー協会は、調査の上で客観的証拠がないとして、4月8日に「懲罰を科さない」と決定しました。

この一連の動きに対して選手側の代理人弁護士は、12日にオンラインで記者会見を開き、日本サッカー協会の判断を「極めて不適切」と批判。協会が掲げる差別撲滅などの方針に反するものだと指摘しました。

選手側代理人・藤塚雄大弁護士:
全く納得できません。きちんと再発防止策をとってほしいと思いますし、責任を認めていただきたい。

選手側は、クラブと監督に対し、人格権侵害による慰謝料請求を行うとしていて、5月中に松江地裁出雲支部に提訴するとしています。

一方、チーム側の代理人弁護士は14日に記者会見を開き、選手側がなでしこリーグに訴えた行為そのものが名誉棄損に当たるとして、今後慰謝料を請求する提訴の可能性もあると強い姿勢を示しました。

堺監督代理人・井上裕也弁護士:
残念ながらというか、現時点に至るまでブラジル人選手も代理人弁護士もそうですが謝罪ということは特に受けておりませんし、今後謝罪というのが行われる可能性は低いと思われる。

また会見では、改めてハラスメントはなかったとしたものの、問題となったポルトガル語の“スラング”は発することもあったと、監督自身が認めているため、クラブとして監督には書面で注意したとしています。

クラブでは、今後ガバナンスなどの組織強化や全スタッフ、選手を対象に専門家による研修会を開くなど、再発防止に努めていくとしています。

TSKさんいん中央テレビ
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