「父がパニックで『わからへんのや』みたいな感じで…」

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誰かの操作によって1200万円の損失…こう語るのは、69歳の父親が証券口座の乗っ取り被害に遭ったという女性。
一体、何があったのか。

「1つの株以外、全部売りに出された」

日曜日に父親宛てに「SBI証券」を名乗る一通のメールが…。

父親はサイトにアクセスし、何の疑いもなくパスワードなどを入力してしまったという。

すると翌日…

父親が証券口座乗っ取り被害にあった女性:
元々15種類くらい持っていたが、1つの株、それ以外全部売りに出された。ある会社の株を20万株買われていた。

被害損失は、約1200万円。父親が“老後の楽しみ”と言っていた大事な資産だった。

父親が証券口座乗っ取り被害にあった女性::
老後何もすることがなくて株を見て楽しんでいた。(株主)優待もらったら、色々配ってくれる。「ご飯行ってき」って言って。

株主優待で、家族に食事などをプレゼントするのが楽しみだったという。

専門家「メールのリンクは押さない」

こうした“証券口座乗っ取り”被害は3月ごろから多発している。

被害は1月・2月は30件台だったが、3月は687件、4月は2746件と急増。
不正に売買された金額は、3049億円にのぼっている。

大手証券会社を名乗る“偽メール”が届いたケースは、SNSでも数多く報告され手口も巧妙化している。

実際に口座を登録していた男性に「5000株を取引した」という内容が送られ、偽サイトに誘導するケース。 

さらに…

「金融機関を装ったフィッシング詐欺や第三者による不正アクセス被害が急増しています」

詐欺などに注意喚起する内容だが、これも“偽メール”だったという。

偽メールが届いた人:
危機感をあおってくるような内容があって。リンクとかにタップしても、ログイン画面にしか飛ばない。

実際に女性に送られてきたメールにあったサイトのURLを開いてみると、「SBI証券」と書かれたログイン画面に…。
右が本物の「SBI(証券」の画面だが、ほとんど区別がつかない。

しかし、よく見てみると不自然なところがいくつも…右上のアイコンがわずかに大きい。

さらに、偽メールから誘導された画面のURLは、「SBI」ではなく、「SB1(イチ)」になっていた。

偽メールが届いた人:
(私は)口座を開設したことがなく「ウソだろうな」と気付いたが、気付かずに開いたとしてもちゃんと見れば気付く要素にはなっていると思う。

 “証券口座乗っ取り”被害が相次いでいる状況を受け、日本証券業協会は5月、大手10社が被害状況に応じて顧客に補償する方針を決めた。

専門家は、対策をこう指摘する。

ITジャーナリスト・三上洋氏:
メールのリンクはたとえ本物でも押さない。内容に不安がある場合は公式アプリや公式サイトで確認。
(被害に)気付いた場合の対応は、まずネット証券会社に連絡をとる。すぐに口座を止めることが必要。あわせて最寄りの警察署に相談する。
(「イット!」 5月14日放送より)