天使のようなほほ笑みを見せる赤ちゃんを優しく見つめるお母さん。

このひと時を迎えるためには、さまざまな負担が…。
出産費用もその1つです。

この出産費用の負担がこの先どうなるのかについて、14日、国の大きな方針が示されました。

現在、帝王切開などを除く出産は保険が適用されない一方、50万円の出産育児一時金が支給されています。

お母さんたちに、出産にかかった費用を聞いてみると、「60万~70万円くらいだと思う」「下の子の時は80万円弱かかりました」「出産育児一時金を合わせると90万円くらいかかりました」といった声が。

出産費用は年々上昇し、東京都の場合、最新の平均出産費用は64万6000円と、支給される一時金の50万円を大きく超える現状。

こうした多額の自己負担が出産を希望する人のハードルになっている現状を踏まえ、14日に開かれた厚労省の検討会。

この場で、2026年度にも自己負担を無償化する方針が示され、出席者からおおむね了承されました。

その詳細な制度設計については今後議論されていくこととなりますが、医療保険の適用も視野に進められるとみられています。

「しらさぎふれあい助産院」では、お母さんたちが交流できる場を作ろうと、2カ月に1回のイベントが行われています。

イベントに出席していたお母さんたちからは、出産費用の無償化を歓迎する一方、「出産後の方がおむつやミルクなどにお金がかかるので、そういうところで支援してほしい」「ケアや事前の教室などで費用がかかってしまうところもある。無償化自体はもちろんいいと思うが、お金の振り方をもう少し考えてほしい」など、さらなる拡充を求める声も聞かれました。

一方、助産院の院長は、仮に通常の出産に保険が適用された場合、施設の経営が苦しくなるのではと心配しています。

しらさぎふれあい助産院・木村恵子院長:
助産院では、できるだけ何もしないことがベストなお産だと思っている。分娩(ぶんべん)費用として助産院にきちんとお金が回ってくるのかも心配。ママたちの負担は少なく、きちんとお産をする施設に費用がいく形を検討してほしい。

さまざま課題はまだありそうですが、無償化はありがたい話。

しかし、ひと言で「出産費用」といってもいろいろあります。
フジテレビ社会部・こども家庭庁担当の松川沙紀記者とみていきます。

無償化は具体的にどこまでなのか、気になる部分を見ていきます。

例えば無痛分娩やお祝い膳、産後ケア、個室料金はどうなるのかなど、いろいろな疑問がありますが、どの辺りまでが適用というのは決まっているんでしょうか。

フジテレビ社会部・こども家庭庁担当 松川沙紀記者:
今回、標準的な出産費用の無償化に向けて進めるべきとしていて、標準的の範囲について議論していくことになるかと思います。例えば、お祝い膳などのサービスについてなんですけども、入院料に含んでいるケースもあるんです。なので、何が標準的な出産費用に含まれるのかということを精査する必要があります。

宮司愛海キャスター:
線引きというところですね。例えば出産に関わるという点では無痛分娩がありますよね。この点は議論されているんですか?

フジテレビ社会部・こども家庭庁担当 松川沙紀記者:
検討会でも、無痛分娩を実施している医療機関が少ない段階では、仮に保険適用としたとしても、地域によっては希望する妊婦さんに提供できなくて給付に不公平感が生じるため、保険適用は慎重に検討するべきだという意見もあります。一方で、検討会では無痛分娩へのニーズが増えているという状況を踏まえて、希望する妊婦が安全な無痛分娩を選択できる環境の整備を進めていくべきだという意見も出ていました。

遠藤玲子キャスター:
もちろん出産にも費用はかかりますけれども、その前の健診があるんですよね。健診も何回か行かなければならないんですけど、その費用とかは無償化に入るんですか?

フジテレビ社会部・こども家庭庁担当 松川沙紀記者:
現在、妊婦健診というのは自治体による助成があります。今回のとりまとめでは自己負担が発生しないように、一層の負担軽減を進めていくべきだとしているんです。

遠藤玲子キャスター:
今後は、それもまとめてということになる可能性もあると。

しかし、無償化はいい話ばかりではありません。
例えば、保険適用が想定されるわけですが、一律の価格になった際は産科施設、コストを反映させた自由な価格設定ができなくなったり、人気病院に妊婦の方が集中してしまうのではないかという懸念もあります。

フジテレビ社会部・こども家庭庁担当 松川沙紀記者:
最近の物価高や人件費高騰の影響で、厳しい状況に置かれている産科施設も多いんです。なので分娩・医療機関が非常に経済的にひっ迫している中で、保険化することで収入が落ちると考えている医療機関も多く、非常に不安感があるという意見も聞かれています。

宮司愛海キャスター:
さまざまな問題点がまだあると思いますが、少子化対策にとってプラスになればいいですよね。

宮司愛海キャスター:
もちろん少子化対策のためにやろうとしていると思うんですが、これだけで少子化対策にはならないかなと思うんですね。生まれてからも大きな費用も掛かりますし、共働き家庭が増えているから、長期的な補助も必要かなと思います。

フジテレビ
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社会部
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