「森友学園」の文書改ざん問題をめぐり、自殺した近畿財務局職員の妻に開示された資料の一部が欠けていたことについて、財務省は「廃棄の過程で欠落したとみられる」ことを明らかにしました。
欠けている資料は、「政治家関係者に言及しているものが多くを占めていると推認される」ということです。
■財務省「政治家関係の応接録を廃棄した過程で欠落したと考える」
学校法人「森友学園」を巡る土地取引で、公文書の改ざんを強いられたことを苦に、近畿財務局の職員だった赤木俊夫さん(当時54歳)が自殺し、妻の雅子さんが関連する文書の開示を国に求めていました。
裁判を経て開示が決まり、財務省は今年4月、資料およそ2000ページを開示していました。
しかしこの資料には付けられた通し番号に欠けているものがあり、雅子さん側は資料が抜けているとして、理由の説明を求めていました。
そしてきょう=9日、国会でこれについて質疑が行われました。
【立憲民主党・川内博史衆院議員】「(番号が欠けている部分で)明確にフェーズが変わるんですね。重要な文書が抜かれているわけです」)
これに対し財務省は、「政治家関係の応接録を廃棄した過程で欠落したと考える」と答弁しました。
財務省によると、欠落している資料は、「政治家関係者に言及しているものが多くを占めていると推認される」ということで、政治家との面談の記録や、その前後の、財務省と近畿財務局の打ち合わせの記録などだということです。
■雅子さん「政治案件のところが抜けているのはなぜ。誰の意図か、ぜひ知りたい」
国会を傍聴していた雅子さんは、次のように訴えました。
【赤木さんの妻・雅子さん】「政治案件のところが抜けているのは、何でそこを捨てないといけないのか。誰の意図で廃棄したのかを、ぜひ今後知りたい」
また雅子さんの弁護団は、来月には俊夫さんがまとめた資料などおよそ6000ページが開示される予定で、これまでに開示や公表されていないものが52件含まれているものの、それらも欠落している可能性があるということを明かしました。
■問題の経緯とは
8年前、学校法人「森友学園」が小学校建設に取得した大阪府豊中市の国有地が8億円以上値引きして売却された問題では、財務省が公文書を改ざんしていたことが明らかになっていました。
この問題では、当時の安倍首相の妻・安倍昭恵さんが小学校の名誉校長を務めていたことから「口利きがあったのではないか」との疑惑が持たれていました。
改ざんを強いられて自殺した近畿財務局の職員、赤木俊夫さん(当時54歳)の妻・雅子さんは、財務省が検察に提出した資料の開示を求めましたが、国はあるかないかすら明かさず「不開示」と決定。
雅子さんは裁判を起こし、1審では敗訴したものの、大阪高裁は「不開示」の取り消しを逆転して命じ、この判決がことし2月に確定し、財務省は先月4日、2013年6月から3年分の土地取引に関する2000ページ超の資料を開示していました。
財務省は、1年間かけて17万ページに及ぶ資料と電子データを開示する方針で、6月上旬には、赤木さんに関係する資料およそ6000ページが開示される予定です。