18年前、新潟市水道局に勤めていた男性職員が上司から精神的に追い詰められ自殺した問題を受け、水道局は5月8日、問題を風化させないため植樹式を行いました。一方、出席した遺族は再発防止の徹底を訴えました。

【新潟市水道局 長井亮一 局長】
「積極的に質問しやすい環境を構築すべき注意義務があったにもかかわらず、そうした注意義務を怠った過失により、取り返しのつかない事態を招いたものであり、痛恨の極みであります」

8日、新潟市水道局で行われた植樹式。2007年に上司からパワハラなどを受けて自殺した当時38歳の男性職員の命日にあわせて行われました。

この問題をめぐっては、2011年に公務上の災害であったと認定されましたが…

【男性職員の妻】
「私は、今度こそは水道局が謝ってくれると思いました。しかし、水道局からは謝罪どころか反省も一切ありませんでした」

水道局はパワハラやいじめはなかったと主張。

遺族が市を相手取り起こした裁判で、新潟地裁は市の責任を認め、約3500万円の損害賠償の支払いを命じました。

植樹式では正しい組織を目指し、事件を風化させないよう願いを込め、『正風のき』と名付けられたキンモクセイが植えられました。

長井亮一局長が風通しの良い職場環境づくりを誓う一方…

【男性職員の妻】
「残念なのは、当時の係長、そして管理職が誰一人参加してくれないこと」

遺族が出席を求めていた自殺した男性の上司にあたる当時の係長などの出席はありませんでした。

【男性職員の妻】
「職員一人一人が自覚して、二度とこのようなことが起こらないようにしていただきたい」

【男性職員の娘】
「もう二度と、私たち家族のような思いをする方が出ないように、再発防止と風化をしないことを願って植樹した」

水道局では今後、全職員を対象にハラスメント研修を行うほか、毎年5月8日には黙祷を捧げます。

【新潟市水道局 長井亮一 局長】
「これは決して区切り、終わりではなく、むしろ我々にとってスタートになる。これ(正風のき)を見て、職員がまた気持ちを新たにして、常に自分を律することができるように、そんなよりどころにしていきたい」

NST新潟総合テレビ
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