2023年に運用を開始した「110番映像通報システム」は、スマートフォンのカメラを使った110番通報。事故はもちろん、事件が発生した時の迅速な対応につながる。実際どのように使うのか?体験した。

■映像をリアルタイムで警察へ

タクシー運転手が強盗に襲われ犯人が逃走した想定で行われた訓練。現場に居合わせた通行人役の男性が手に持っていたのは、スマートフォンだ。

通行人:「まちなか広場から北の方に逃げて行って、犯行の状況を動画に撮りました」
通信指令課:「その動画を送っていただくことは可能ですか」

警察が2023年4月から運用を開始した「110番映像通報システム」は、撮影した映像や写真はもちろん、現場で撮影している映像をリアルタイムで警察に送ることができる。


■検挙につながった実績も

福島県では、これまでに約570件の利用実績がある。
2025年1月には、福島県郡山市のスーパーで万引きをした犯人が警備員を殴るなどして逃走。警備員がこの通報システムで撮影した犯人の姿を警察に送り、検挙につながった。
福島県警察本部・通信指令課の増子浩課長は「視覚でとらえているので、迅速的確な無線指令により速やかな事件事故の解決に結びつくと考えている。安全確保・第一を考えて、通報していただきたい。スマートフォンで撮影した映像、必要があれば、こちらから依頼しますので、ぜひご協力していただければと思います」と話した。


■どのように使うの?

110番通報をすると、通信指令課の担当者から「今そちらにショートメールを送りますので、ハンズフリーにしてもらうことってできますか?今ショートメールを送りました、届きましたでしょうか?」と案内される。
ショートメールに記載されたURLに接続。ガイドに従って「位置情報の共有」や「カメラのアクセス」を許可すると、撮影した映像がリアルタイムで警察に送られる。
何を、どのように撮影してほしいかという画面上のメッセージに従い撮影することで、映像が捜査の手がかりや証拠につながる。


この通報システムは、とても有効な一方でまだまだ浸透していないという課題もある。
福島県警察本部の担当者によると、通報者からは「忙しくて対応出来ない」などなかなか同意が得られない状況があるようだ。
ただ、迅速な事件・事故の解決や災害時や遭難をした際などに利用することで、命を守ることにもつながるかもしれない。

福島テレビ
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