GW真っただ中。家族や友人たちとバーベキューを計画している人も多いだろう。
気候のよい時期は、河川敷や公園などで楽しんでいる人達を見かけることがあるが、設備が整っていない中、火の後始末などが少々気になる。
そもそもこうした場所でバーベキューをしてもよかったのだっけ?
「公共の場所で軽い気持ちでバーベキューを行うと、法的問題に関わる可能性があります」
と指摘するのは、芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士。
「法的問題」とはどういうことか、詳しく聞いた。
■河川敷でのバーベキュー禁止の自治体は意外と多い
【牧野和夫弁護士】
バーベキューをする場所として、「河川敷」や「公園」を考える人は多いと思いますが、違法行為にあたる可能性があるので注意が必要です。
なぜかというと、「法律」および「各自治体の条例」によって、河川敷や公園でのバーベキューは禁止や制限がされているケースが多いのです。
禁止・制限する法律としては「自然公園法」「都市公園法」「廃棄物処理法」「消防法」「軽犯罪法」など、非常に多くの規制や制限が設けられています。
これにさらに各自治体の条例が加わります。
こうした法律や条例に違反すると、懲役や罰金が科せられる可能性があるのです。
例えば東京都狛江市。多摩川がある同市では、多摩川河川敷環境保全区域でバーベキュー等と花火が禁止されており、違反すると2万円以下の過料が徴収されます。
また、京都府では、鴨川の河川敷を含む一定の区域において、河川法の使用許可がないバーベキューは条例で禁止されていて、従わない場合は5万円以下の罰金が科せられます。
他にも、大阪府高槻市、栃木県鹿沼市、長野県大桑村なども、河川敷でのバーベキュー禁止。
兵庫県神戸市や明石市、神奈川県鎌倉市、佐賀県唐津市などは、海岸や海水浴場でのバーベキュー禁止。
奈良県天川村にいたっては、私有地を除く村内全域でバーベキューを禁止しています。村の環境美化の促進のためで、村内全域で放置ごみや放置自転車の禁止とともに、バーベキューも禁止されたのです。
このように、全国の自治体で、バーベキューなどについての条例が定められています。
屋外でのバーベキューを計画したら、必ずその地域の情報を確認して下さい。
■利用客以外のコンビニトイレ使用 「建造物侵入罪」問われる可能性?
さて、河川敷や公園でバーベキューができることになったとして、アウトドアで困るのがお手洗い。近くにあるコンビニのトイレを使用した経験がある人も多いのではないか。
実は、このコンビ二のトイレを借りる行為にも、法的に注意が必要だという。
【牧野和夫弁護士】
コンビニ店のトイレは、あくまで店の利用客のために用意されているものです。
商品購入のためにコンビニを利用するのではなく、トイレの使用のみを目的として立ち入る行為は、『正当な理由がないのに、人の住居、人の看守する邸宅、建造物、艦船に侵入した』ことになり、刑法第130条の「建造物侵入罪」が成立する可能性があります。
法定刑は3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。
また、民事でも、民法709条の「不法行為」に該当し、清掃費用などを支払う義務が発生する可能性がでてきます。
一般的に、コンビニ店のトイレを利用したら、何か購入するのがマナーだとされています。
トラブルを避けるためにも、飲料やガム1つでも良いので購入した方が良いと思います。
■私有地でも安心できない…
バーベキューを楽しむのに、自宅の庭なら問題ないだろうと思われるかもしれませんが、こちらも注意が必要です。
都市部や住宅密集地では、煙臭や火事の危険、騒音の問題などが起こり得るので、自治体の条例で禁止されているケースが多いのです。
通報されてしまうと、軽犯罪法違反となる可能性があります。
「私有地だから大丈夫」と思わず、自治体の条例を確認して下さい。
バーベキューなどを計画したら、まずはその地域の情報集め、許可の有無なども含めしっかり確認しましょう。
せっかくの楽しい時間を台無しにしないためにも、決められたルールをきちんと守って、安心して楽しんで下さい。
(牧野和夫弁護士)