福島第一原子力発電所で相次いだトラブルを受けて実施された“構内すべての作業の点検”とその結果を踏まえた作業の見直しについて、東京電力は2024年度の実施結果を原子力規制委員会に報告し「不適合や災害は減少しており、作業点検による一定の成果が見られた」と評価した。
福島第一原発では、2024年2月に弁の締め忘れにより汚染水を含む水が敷地内に漏えい。4月には作業ミスによる停電で処理水の放出が約6時間半にわたって停止するなどトラブルが相次ぎ、原子力規制委員会は、作業手順や計画を定めた「実施計画」に対する「軽微な違反」と認定した。これを受け東京電力は、“構内すべての作業のリスク点検”を実施し、995件の作業のうち約68%にあたる675件で、現場の明るさ不足や転倒リスク、放射性物質による汚染リスクなどの要改善点があったと公表していた。
東京電力はその後、リスクにつながる場所の特定や作業員への教育などを実施。取り組みから約1年が経過したことから、2025年4月30日に開かれた原子力規制委員会の「特定原子力施設監視・評価検討会」で進捗を報告した。
「比較的軽微な作業や繰り返し作業に関するリスク管理の甘さが災害に至っていることが確認された」などとしながらも、「作業員同士のコミュニケーションを促すことによって現場での汚染の可能性に気付いて装備を別のものに変えるなど具体的な成果も見られた」として「不適合や災害は減少し、点検の一定の成果は見られた」と評価した。
一方、報告を受けた原子力規制委員会は「これは目標を達成すれば良い、改善されたから良いという類のものではない」とし、「引き続き保安検査等で取り組み状況を確認する」などとして、引き続き改善に取り組むよう求めた。
東京電力は2025年度も継続して取り組みを行い「作業点検などを発電所全体に定着化させ、安全意識・行動のさらなる向上を目指す」としている。