特集はテーマパークの復活です。2020年に閉園した長野県塩尻市の「チロルの森」が、復活を望む声を受け、4月、4年半ぶりに通常営業を再開しました。ドッグランやワイナリーなど、新たな施設も整備し、客を迎え入れます。
自然の中でのびのび遊んで、「芝すべり」も。
男の子(松本市から):
「たのしかった。ころんだところ(笑)」
動物たちを間近で観察することもできます。
ここは、塩尻市のテーマパーク「チロルの森」。4月26日のグランドオープンを前に、19日と20日にプレオープンしました。4年半ぶりの復活です。
1999年に開園した「チロルの森」。オーストリア・チロル地方をモチーフにしていて、広大な敷地に、動物とのふれあい施設やレストランなどが並びます。
初年度は37万人が訪れましたが、レジャーの多様化などで客足は徐々に減少。2019年度は7万人を割り込みました。
さらに新型コロナの影響が追い打ちをかけ、2020年11月に閉園しました。
飼育していた動物たちも県外のグループ施設などに移っていきました。
施設の後利用の検討が進められていた2024年、復活の足掛かりとなる出来事がありました。
地元の小学生が「こども議会」で市長に「チロルの森を再開してほしい」と提案したのです。
復活を望む声を受け、運営会社は2024年8月、1カ月間限定で営業しました。すると、2万5000人が来場。会社は復活へ大きな手ごたえを感じていました。
チロルの森・片岡宏一支配人:
「『ぜひ来年も継続的にやってほしい』だとか、温かい言葉をいただいた。こんなにチロルの森が愛されていたんだなと感じて、胸が熱くなりました」
4月16日、園内ではスタッフたちがレストランの掃除など準備に追われていました。4年半ぶりに通常営業を再開することを決めたのです。
動物の世話をするスタッフの佐藤ひでさん(28)は復活を待ち望んでいた一人です。
佐藤さんは2016年から2020年の閉園まで「チロルの森」に勤務し、動物の世話を担当していました。
閉園後は県内の別の牧場で働いていましたが、復活を知り、戻ってくることを決めました。
チロルの森 スタッフ・佐藤ひでさん:
「(閉園して)この場所で動物たちと一緒に仕事ができなくなるのが一番つらかった。遊んだり、ふれあいができる場所として再開すると聞いたときは、驚きもあったし、良かったなと」
2018年に「チロルの森」で生まれたアルパカの「アサヒ」など、一部の動物も「里帰り」しました。
園内には、アルパカやヤギなど4種類の動物がいて、エサやりやふれあいを楽しむことができます。
チロルの森 スタッフ・佐藤ひでさん:
「また一から、前のチロルみたいな良いところを残しつつ、新しくつくり直していこうと、頑張るぞ」
迎えた、19日のプレオープン。
市内から:
「楽しみにして来ました。さみしい思いがあったので、子どもとまた来たいと」
午前10時の開園とともに続々と家族連れなどが訪れました。
スタッフ:
「どうぞお進みください、いってらっしゃい」
ゴーカートや斜面をそりで下る「芝すべり」は、閉園前から変わらずの人気ぶりでした。
園内の池で楽しめる「スワンボート」は2024年の期間限定営業でもやらなかったため、4年半ぶりの復活です。
山梨から(娘):
「運転が大変だったけど、まあできた」
山梨から(母親):
「懐かしいですね。コロナで大変だった時期なので、(閉園は)仕方ないのかなと思ってましたけど、残ってもらえるといいなと思える施設だったので、再開してすごくうれしい」
スワンボートに乗り込んだ長野県中川村の中学2年生・久保田紗都さんと松村心乃音さん。2人は再開後の「チロルの森」の姿を描いた企画書を塩尻市長に送ったほどの「チロルファン」。プレオープンにも2人で駆け付けました。
久しぶりのボートを満喫。
松村心乃音さん:
「足が疲れて大変だったけど楽しかった。久しぶりだったのでうれしかった」
久保田紗都さん:
「いつ来ても開いていて、楽しめるのがうれしい。たくさんの人が来て、楽しんでいるところが見られたらいい」
動物とふれあえる施設にも多くの客が訪れていました。
諏訪市から(娘):
「おっきいと思った」
客と動物が触れ合う様子や子どもたちのいきいきとした反応を見て、佐藤さんも思いを新たにしたようです。
チロルの森 スタッフ・佐藤ひでさん:
「お客さんたちの『かわいいね』『おいしそうに食べるね』という声を聞くと、すごくうれしい。自然豊かな場所にある施設なので遊ぶでも、ふれあうでも、自然の中で体験することで癒やされるような、のんびり落ち着けるような施設にできたらいいなと」
より幅広い客に楽しんでもらえるようにと、新たに整備した施設もあります。
12kgまでの小型・中型犬が利用できる「ドッグラン」は、ペット連れの旅行需要の高まりを受けて整備しました。
園内の3ヘクタールの敷地には、ブドウの畑を整備。2年後には収穫したブドウで、ワインの醸造も行う予定です。
チロルの森・片岡宏一支配人:
「また閉園になるようなことではいけないので、(採算面で)しっかりとしたビジョンは持っている。幅広い年代のお客さまに楽しんでいただけるような施設づくりを、この1年を通してしっかり行っていきたい」
復活を望む声を受け、新たな施設も整備して営業を再開した「チロルの森」。4月26日から大型連休中は毎日営業します。