29日は昭和の日。さらに今年は昭和元年からちょうど100年にあたります。

そこで、「中部の昭和100年スポット」をシリーズでお伝えします。

初回は富山から開湯100年の歴史を持つ宇奈月温泉で100年以上続く老舗の和菓子店の話題をお伝えします。

*堀元優花アナウンサー
「富山県の奥座敷、宇奈月温泉にやってきました。2年前に開湯100年を迎えたこの温泉街を開湯当時から見守って来たお店があります。」

宇奈月温泉は、富山県東部の黒部市に位置する温泉地で、大正12年に開湯。

黒部川上流の黒薙温泉からおよそ7キロの引湯管を通じて温泉を引いたことが始まりです。

黒部川の電源開発とともに街も発展し続け、今では一大観光地として国内外からたくさんの観光客が訪れています。

*堀元アナ
「宇奈月温泉の開湯当時から続く、老舗和菓子店がこちらの「つぼや」です。甘い香りがしますよ。こんにちは」

*つぼや 上野岳昭さん
「いらっしゃいませ」

*堀元アナ
「こちらのお店は100年の歴史があると聞いたのですが」

*上野さん
「大正14年に黒部市から移転して、100年やっております」

*堀元アナ
「ご主人で何代目ですか」

*上野さん
「私で四代目です」

宇奈月温泉駅から徒歩1分。温泉街の入口にある、つぼや。

開湯当時からこの場所に店を構え、和菓子を作り続けてきました。

中でも人気なのは、やはり、おまんじゅうです。

*堀元アナ
「生地がもちもちで黒糖のやさしい甘さと香ばしさ、とてもおいしいです」

*上野さん
「できたてにこだわっています。100年前からあるはずですが、配合はその時代によって微調整している」

*堀元アナ
「この100年でさらにおいしく」

*上野さん
「進化している」

こちらは、大正14年、開湯当時の宇奈月温泉です。

*上野さん
「グレーのこのうち、これがうちです」

*堀元アナ
「ここからだんだん商店街ができて、今になる。どうして宇奈月に来たのですか」

*上野さん
「もともと黒部の三日市にいたんですが、これから宇奈月が有望だといち早く移転したのだと思います」

つぼやが宇奈月温泉に移転した翌年、昭和元年を迎える時には、すでに多くの店が立ち並び、温泉街の発展の勢いがよくわかります。

和菓子作りも時代と共に進化する中、100年前から変わらないお菓子があります。

*堀元アナ
「こちらですか。宇、奈、月と焼き印がありますね」

こちらが、宇奈月温泉の開湯当時から販売している宇奈月まんじゅうです。

*堀元アナ
「宇奈月の宇をいただきます。中に栗が入っていますね。あんがやさしい味、なんだか懐かしい味」

*上野さん
「昔のまんまの配合。それこそ、小麦粉と砂糖と小豆しか使っていない」

この「宇奈月」の文字、どこか不思議なところがあるのですが…みなさんわかりますか?

*上野さん
「これが100年前からの型で、非常に面白いのが奈が繋がっている。なぜこういう書体なのか、謎なんです。間違ったのか、何が意図があってこうしたのか、トンネル工事貫通を祝って貫通させたのか」

当時はトンネルが完成するたびに式典が開かれ、紅白の宇奈月まんじゅうが配られていたそうです。

*上野さん
「実は何十年行方知れずであきらめていたんですが、それが2年前、ちょうど開湯100周年の時に壁と柱の隙間から出て来た」

*堀元アナ
「100年に合わせて出て来た」

開湯100年の節目に見つかったのも不思議な縁。

再び、宇奈月まんじゅうは復活し、地域の人たちは懐かしんで買いに来るようになったそうです。

*堀元アナ
「宇奈月温泉は100年でどう変わりましたか」

*上野さん
「大分様変わりした。100年の間に景気のいい時悪い時が何度もあった。それを乗り越えて今まで続けてきた。お客様のおかげ」

*堀元アナ
「次の100年に向けて、お店をどうしていきたいですか」

*上野さん
「なるべく手作りで、できたてで、良心的な値段で仕事をしていきたいと思います」

*堀元アナ
「宇奈月の地元の人にも愛されるあたたかいホームみたいなお店ですね」

*上野さん
「それを目指して頑張っていきたいと思います」

電源開発の拠点として開かれ、その後は観光地として栄えた宇奈月温泉。

その100年の歴史とともに愛されてきた、素朴で温かいおまんじゅうでした。

富山テレビ
富山テレビ

富山の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。