福井県警として初の女性本部長に4月25日付で就任した、増田美希子氏(47)が28日、着任会見を開き「県警が最重要課題に位置付ける拉致問題は26年に及ぶ警察官としての経歴の中でも思い入れの強い部分」と語り、力を注ぎたいとしました。また、福井の女性の就業率の高さに触れ、自身も「子育てをしながら仕事をしている」とし、性別にかかわらず職員が働きやすい職場環境の整備にも力を注ぎたいとしました。
着任会見の冒頭、増田氏は「福井県の皆様の安全を確保するために精一杯職務に励みたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします」とあいさつ。その後、記者からの質問に答えました。
原発や拉致問題など“福井の課題”への対応は―
<質疑応答>
Q.福井では原発や拉致問題など、全国的に注目される事案があるが、警察庁での経験や国際テロなどの経験を踏まえ、原発警備や拉致問題にどう取り組んでいくか―
「前職では原発の警備を含めた、不測事態への対処を重視する警察の組織改革活動に携わっていた。拉致問題に対応する警察庁外事課の企画官を経験したこともある。原発関連施設に対するテロ対策、そして拉致問題を福井県警として最重要な課題に位置付けているし、私の26年に及ぶ警察官としての経歴の中でも思い入れの強い部分。まず原発の警備については、まず不法行為について的確な情報収集をすると共に、専従部隊による警備の徹底、それを通じて警備の万全を期していきたい」
「拉致問題については、県民、国民の生命、身体の安全において極めて重大な問題であるというふうに認識している。拉致の可能性を排除できない事件について、被害者の方々の複雑な気持ちを十分に受け止めながら、警察庁長官と連携しながら、事件の早期解決に向けて捜査を徹底してもらいたいと思っている」
子育てと仕事の両立を実践
Q.その他の福井県の課題について力を入れて取り組む方策などがあれば―
「前任の丸山本部長が発表した『安心安全福井プログラム』に基づいた施策を着実に進めていく。その上で、諸課題を個別に遂行する、あるいは検討していく上で、我々警察が社会の変化にしっかりと対応できているのかという事は常に判断の視点として持ち続けたいと思っている。社会情勢の変化は、治安上の課題に直接影響を与える。我々も、福井県あるいは福井県を訪れる方々の安心安全の確保のため、その職責を果たす上で、本部長自身の性別は特に意味を持たないと思っている。その上で、私自身、子育てをしながら仕事をしている。福井県というのは、女性労働力全国一位と聞いている。子育てをしながらの苦労や課題は、職員とよく共感共有できるものではないか。職員の性別にかかわらず、一人一人が責任を持って職務に取り組めるということが、県民の安全につながるので、職員一人一人が生き生きと働ける職場環境の整備というのは、非常に重要であると思っている」
Q福井の印象や、やってみたいこと、訪れてみたい場所は―
「今回の勤務で初めて福井県に来た。福井県の印象は、旧城、歴史的な建物が多数あって、そして食の豊かさでも大変魅力的。私自身も今回は住む機会を与えられたことを大変嬉しく思っている。福井県は幸福度ランキング1位を6回連続獲得しているということで、県内各地を時間が許す限り回って、幸福度の高さの幸せの理由を、自分なりに分析することを心掛けている」
Q.趣味やまた休日の過ごし方は―
「登山も好きですので、県内色々な有名な山がありますので、地元の方々に相談しながら、山登りをさせてもらいたい」
増田氏は東京都出身の47歳。東京大学教養学部を卒業後、2000年に警察庁に入庁し、警察庁長官官房調査官や警視庁公安部の参事官などを歴任。25日付で福井県警初の女性本部長に着任しました。