鹿児島県肝付町のチーズケーキ専門店を紹介します。
元は喫茶店でしたが、持ち帰りが好評となり、チーズケーキ1本で営業するようになったという人気のお店を取材しました。
肝付町にある「シエスタ」。
今からちょうど30年前に喫茶店としてオープンしましたが、9年前からはチーズケーキの専門店として営業しています。
来店客
「大好きでよく買いに来ます。コクがあって、どこにもない味」
「ここのチーズケーキが一番好き。甘すぎない。だからパクパクいける」
大人気のチーズケーキを作っている重本抄代子さんです。
シエスタ・重本抄代子さん
「オーストラリアのクリームチーズ。あまり臭くないんです。じゃないとチーズが苦手な人がいらっしゃって」
チーズが苦手な人にもおいしく食べてもらいたいと選んだオーストラリアのチーズに、地元・鹿児島県内之浦の大自然で放し飼いされている地鶏のたまご。
重本抄代子さん
「(地鶏の卵は)他のもので作ってみたときと、できたときの弾力が違う気がする。今、イタチみたいな獣が来て鶏を食べるらしくて、(卵が)あまりたくさん採れないそうです」
厳選した素材を使って作り上げます。
実はお菓子作りは独学という重本さん。「自己流だからプロに見られたら恥ずかしいわ」と笑います。
しかし、だからこそ、納得の仕上がりになるまで時間も手間も惜しみません。
重本抄代子さん
「すみません ピピピが鳴るんで!」
「回転させないと厚みが変わってくるんですよね」
タイマーが鳴るとオーブンへ走り、熱を均一に通すため何度も何度もケーキの型を並べ替えて、焼き上げたチーズケーキが…こちら!
ふわふわなのに、口に入れると濃厚で、クリーミーな口溶けです。
喫茶店の開店当初から看板メニューだっという、こちらのチーズケーキ。
転機となったのは、持ち帰りでの販売を始めたことでした。
重本抄代子さん
「売り上げがもうちょっと伸びないかとみんなで話していて。お客様の数を増やすことはこの田舎ではなかなか難しいので。それでは来られたお客様がお土産とか何か買って帰れるようなスイーツを考えようと思って」
シフォンケーキやパンなどさまざまな商品を試作したものの、納得のいくものはできません。
最終的にたどり着いたのが看板メニューのチーズケーキのテークアウトでした。
重本抄代子さん
「『あっ、うちにはチーズケーキがある』と。持って帰りたいという人もいらっしゃって。他にはないチーズケーキってないかなあと、毎日毎日作って作ってみんなで食べて。『もういい!』って言うくらい毎日。3カ月くらい。それで『これだ!』というのができて」
重本さんは「他にないチーズケーキを」と食べやすいスティクタイプに改良。
すると、多い時には、1日に200本以上売れる大ヒット商品になりました。
ケーキを詰める箱を組み立てるのは、2025年で90歳になる姑の洋子さん。
義母の洋子さん
「これで一丁上がり(笑顔)」
家族の協力も、ヒットを後押ししてくれます。
さらに2年前からは店の前に自動販売機を設置。
閉店時間でもチーズケーキが買えるようになりました。
こちらの中学生が購入したのは…?
チーズケーキを購入した中学生
「チーズケーキの切り落としを買いました。こっちの方が他のものより多くて安いのでよく食べます。あまり自分はチーズケーキは好きじゃないけど、これは全部食べるくらいおいしい」
みんなに愛される重本さんのチーズケーキ。
シエスタ・重本抄代子さん
「『有名ですね』と言われるとうれしいけど『本当かなあ?』と。これはやっぱり皆さんのおかげですね。私が作ったのを『おいしかった』と皆さんが広めてくださったおかげなので」
重本さんは、きょうも忙しくチーズケーキを焼き続けます。