4月24日、宮城県塩釜市の坂総合病院で、災害を想定した大規模な訓練が行われました。東日本大震災前の2006年から毎年実施されているこの訓練。きっかけは、その前年に起きた痛ましい事故でした。

24日、塩釜市の坂総合病院で行われた大規模災害を想定した訓練。宮城県沖でマグニチュード9.0の地震が発生し、大津波警報が発表されたという想定で行われました。訓練には職員だけでなく、消防署や保健所の職員なども参加し、本番さながらの緊張感の中、災害時の連携などが確認されました。

この訓練が始まったのは2006年。前の年に起きた痛ましい事故がきっかけだったといいます。

当時を知る 渡辺一也副看護部長
「飲酒運転のRV車が集団に突っ込んで、仙台育英学園の生徒が3人亡くなった事故をきっかけに訓練を始めた」

2005年5月、多賀城市八幡の国道で、学校行事のウォークラリーに参加していた仙台育英高校の生徒の列に、飲酒運転のRV車が突っ込み、生徒3人が死亡、15人が重軽傷を負った事故。事故現場から近い坂総合病院にも患者対応の要請がありましたが、運び込まれたのは軽傷の5人だけでした。

当時を知る 渡辺一也副看護部長
「当時、救急指定病院ではあったが、救命センターとか災害拠点病院ではなかった。重症患者を受け入れられなかった。悔しい思いをしたのが正直なところ」

「自分たちの地域で起きた事故の患者を救えなかった」という後悔は、「事故や災害に強い病院」への変化につながり、坂総合病院は2008年に災害拠点病院に。東日本大震災ではその機能・役割を果たし、2019年の東日本台風や去年1月の能登半島地震では、災害派遣医療チーム「DMAT」も派遣しました。

当時を知る 渡辺一也副看護部長
「手前みそではあるが、民間病院で災害拠点病院とかDMATを構築するのは、なかなかハードルが高い問題。民間は意外と少なく、それでもやれているというのは、育英の事故をきっかけに、地域を守るマインドのもとにやってこられた」

坂総合病院では来年も訓練を実施する方針です。

仙台放送
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