ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇が4月21日に亡くなったことを受けて、教皇とゆかりのあった東日本大震災の被災者からも悼む声が聞かれました。

被災地と教皇をつないだ一本のお酒があります。イタリア語で「光」を意味する「LUCE(ルーチェ)」というお酒で、4年前、名取市の酒造会社がフランシスコ教皇に贈りました。

21日、88歳で亡くなったローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇。6年前に来日した際には東日本大震災の被災者とも会い、激励の言葉をかけたそうです。

名取市閖上で酒造会社を営む佐々木洋さんです。

佐々木酒造店 佐々木洋さん
「世界中から心配されてたくさんの方から再起してほしい、立ち上がってほしいという応援の力を教皇の言葉から感じた」

佐々木酒造店は、津波で店舗が全壊しましたが、2019年に現地で再建を果たしました。その年に作られたのがライスワイン「LUCE」です。イタリア語で「光」を意味し「復興の光になりたい」という思いから名付けたそうです。丸森町のブランド米「いざ初陣」を使い、分類としては日本酒ですが、白ワインのような酸味とフルーティな香りが特徴です。

じつは共同開発した丸森町の企業「GM7(ジーエムセブン)」も2019年の東日本台風で被災していて、復興に向けて歩みを始めたばかりでした。

佐々木酒造店 佐々木洋専務
「台風の年にできたコメで酒を造って、同じ被災地である閖上と丸森のつながりを持って、東北宮城の復興を発信していこうと」

東日本大震災と東日本台風という2つの災害を乗り越える思いが込められた「復興ライスワイン」は、とあるきっかけでフランシスコ教皇とつながります。

佐々木酒造店 佐々木洋専務
「震災ボランティアの中に、在日バチカン大使館とつながりが。在日バチカン大使館の方が『ぜひともお酒を教皇に送ってみては』と」

2021年、LUCEはバチカン市国の日本大使館を通じて教皇のもとへ。すると後日、佐々木さんのもとに教皇から思わぬ贈り物が届きました。

佐々木酒造店 佐々木洋専務
「その後、クリスマスカードをいただきました。びっくりしましたね。関係が続いているんだなと、すごく実感してありがたかった」

LUCEを贈ったことが縁となり、佐々木酒造ではヨーロッパへ商品を輸出する機会が生まれました。現地調査のため、イタリアを訪れた佐々木さんは、その足でバチカンまで向かいました。

佐々木酒造店 佐々木洋専務
「さすがに教皇には会えなかったですが、おかげさまでここまで来られましたという感じで巡っていました」

佐々木さんは教皇と被災地との絆を胸に、これからも復興を発信していきたいと話します。

佐々木酒造店 佐々木洋専務
「こういった関係性を後世まで語り継いで、世界中から支援の力をいただいて、被災地が復興に向かっている。今なお復興に向かっているというところは、自分のところのお酒を飲んでいただきながら発信し続けたい」

仙台放送
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