22日、神奈川・横浜市の住宅に埼玉県警が捜索に入ろうとした際、男が捜査員に車をぶつけて逃走した事件で、警察は逃走した50歳の暴力団幹部の男を公開手配しました。

この事件について、フジテレビ・上法玄解説委員と見ていきます。

青井実キャスター:
警察は今日公開手配に踏み切ったわけですが、そもそも逃走を許してしまったのは警察のミスというか、失態ということなんでしょうか?

上法玄解説委員:
捜査員は田村容疑者の車にはねられながらも制止しようとしたわけですから、命がけの現場だったと思います。今回は田村容疑者に逮捕状がなかったことがポイントです。逮捕状がない場合、関係者には任意でその場にいてもらわないといけないわけです。相手から「出かけたい」と言われた時に、捜査員にはそれをやめてもらう理由がないわけですから、何とか説得して相手にその場にいてもらうのは、警察にとって難しい対応が迫られる場面だったわけです。

青井実キャスター:
ただ、4人の捜査員の方がひかれたということですが、なぜ捜査員をひいてまで逃げようとしたのかですよね。

上法玄解説委員:
何かを是が非でも隠したかった可能性はありますので、拳銃など違法性のあるものを持って逃走した可能性もあるといえます。また暴力団犯罪の場合、実行犯は組員でも、指示を出した組長が使用者責任を問われるため、証拠となる携帯電話などを隠滅したい考えがあった可能性もあると思われます。

宮司愛海キャスター:
果たして何を隠したかったのかも気になりますが、今回公開手配されたのは、指定暴力団・稲川会系幹部の田村悟史容疑者(50)です。身長が約1m75cmほど、短髪で眼鏡をかけていて、ウィンドブレーカーを着て逃走していたということです。
田村容疑者は2年前に埼玉・狭山市で起きた拳銃を使用した殺人事件の関係者とみられています。

青井実キャスター:
そんな中、警察は今日になって公開手配したわけですね。

上法玄解説委員:
きのうの事件で大きな話題となっているうちに広く情報を募ることで、早期の逮捕につなげたいと考えたと思います。逃走した田村容疑者は稲川会系の暴力団幹部ですから、警察が暴力団組織に働きかけてすぐに出頭させることができるのであれば、こうした公開手配には踏み切っていない。そうした見通しが逆に立たなかったから公開手配に踏み切ったといえます。また、容疑者は車で逃走したので、当初はナンバーからどこを走っているのか分かるNシステム情報などを活用して追跡したと思われます。それがどこかで失尾してしまったことから、公開に踏み切ったともいえると思います。

田村容疑者がどこに逃げたか、いま分かっていることをまとめていきます。

宮司愛海キャスター:
地図上で、赤い×印があるのが田村容疑者の自宅。横浜市神奈川区松本町にあります。近くには国道1号と高速の乗り口があり、地下鉄の三ツ沢下町駅や東急の反町駅などもあるような地理状況です。田村容疑者は制止する捜査員に車で衝突したあとに、自宅から北の方向に向かって逃げていったということです。いまだ捕まっていませんが、逃走経路、どんなことが考えられますか?

上法玄解説委員:
車は乗り捨てていると考えられます。
車ですと、ある程度リアルタイムでどの辺りを走っているか分かりますので、1日たってまだ発見に至っていないということは、どこかで車を乗り捨てて徒歩や電車に乗り換えている可能性が高いといえます。その場合、警察は駅や街中の防犯カメラの映像を1つ1つ集めて、犯人の足取りを映像で追うリレー捜査を行います。映像から犯人の足取りを追うには、映像を集めるにも映像を解析するにもマンパワーと時間がかかるため、同時に公開手配をして広く情報を集めようという判断になったと思います。

SPキャスター パトリック・ハーラン氏:
一般の方が何らかの情報を持っている時には、どのくらいの地域的な範囲から集めようとしているのか、そして、どれぐらい似ていたら通報しなきゃいけないのか?

上法玄解説委員:
情報は広く集めるというのがまず大事なことです。それと、似ているという部分なんですが、ちょっと似ているという情報でも大丈夫です。少しでも似ている、怪しい、おかしい、そういった人物がいた場合には警察に情報提供していただきたいと思います。

青井実キャスター:
今後の捜査はどう展開していくのでしょうか?

上法玄解説委員:
市民から集まってくる情報を、防犯カメラ捜査で分かった情報などと突き合わせて、有力情報がどれなのか迅速に選んで対応することで早期発見・逮捕につなげてほしいと思います。そのためには、捜査で分かってきた情報を今後も警察が適宜、出していくことが大事になってきます。

情報提供は「狭山署(04-2953-0110)」まで。

フジテレビ
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社会部
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