熊本県内に設置されている人気漫画『ONE PIECE(ワンピース)』の全てのキャラクター像を巡るバスツアーが今度の土曜日26日から始まります。
熊本地震から9年。麦わらの一味を通して〈被災地の今〉を伝える新たな取り組みに密着しました。
【熊本県観光文化部 脇 俊也 部長】
「〈熊本地震で傷んだところ、逆に地震からこれだけ復興したという姿をぜひ見てもらいたい〉という思いも込めてツアーを組んだ」
熊本地震から9年。被災地の今を多くの人に伝えようと、新たな取り組みがスタートします。
その主役は熊本出身の漫画家・尾田 栄一郎さんの人気作品『ONE PIECE』です。
【ルフィ】
「これからも熊本のみんなは俺の仲間だ。野郎ども、復興に向けて出発だ!」
県は、熊本地震からの復興プロジェクトとして『ONE PIECE』と連携し、キャラクター像を県内10カ所に設置。
主人公のルフィ率いる『麦わらの一味』は、それぞれの場所で被災地の復興を見つめながら、観光客からも人気を集め、熊本を盛り上げてきました。
そして今回、県は『麦わらの一味』全員に会えるツアーを企画。先日、プレツアーを行いました。
【九州産交ツーリズム 河野 弘毅 さん】
「こういう場所に、こういった意味で造られているのだというものも楽しんでいただければ。それぞれの市町村の魅力、おいしいもの、復興の状況も含めて楽しんでいただければ大変うれしい」
初めに訪れたのは、大津町。剣道が盛んなこの町には、3本の刀の使い手である『ゾロ』の像が。修行を重ね、地震に負けない町づくりを目指すという思いが込められています。
【参加者】
「去年1回(熊本に)来たが、その時はルフィとゾロとフランキーだけ見られた。一味全員を見られるなんて夢のまた夢だと思っていた」
次の目的地に向かうまでは、ワンピース像設置に関する豆知識などを知ることができるのも、このツアーの魅力です。
【九州産交ツーリズム 河野 弘毅 さん】
「ウソップの写真を撮る時、ちょうど背景に阿蘇山が入るが、(像ができた)当時は電線などがあり、どうしても写真に写り込んでしまっていた。〈かっこいいウソップ像を撮ってもらいたい〉ということで、阿蘇市の協力があって、現在は電線などを排除してもらったので皆さんもぜひ、写真を」
次なる目的地は、熊本地震 震災ミュージアム『KIOKU(キオク)』。
この場所には、地震の記憶と教訓を語り継ぐ手助けを行ってもらおうと、考古学者『ロビン』の像があります。
【ガイド 村上 善子 さん】
「阿蘇大橋は南阿蘇にとって大事な交通網だった。しかも57号線も通れなくなったので、本当に閉じ込められたような地域になった」
当時の状況を色濃く残すこの場所。自分の目で、耳で、地震の恐ろしさや教訓を確かめた参加者たちは、ワンピース像が設置された意味についても思いを巡らせました。
【参加者】
「まだ信じられないというか、〈本当にそんなことが一瞬で起きたのだろうか〉とすごく思う。『麦わらの一味像』はこれ(地震)がきっかけの部分があるじゃないですか。楽しいだけで見に行くだけではなくて(像が)建った背景にはこういうことがあって、広い視点で見たら(ワンピース像は)ないほうがよかったというか、そういうのも学べるのがいい」
この日の最後は、高森駅。フランキー像を写真に収めていると、『ワンピース』とコラボした南阿蘇鉄道の人気列車『サニー号トレイン』もやって来ました。
復興の象徴ともいえる列車と『ワンピース』の共演を、参加者たちは楽しみました。
【参加者】
「ワンピースがきっかけでニュースでしか知らなかった地震のことを知ることができたり、熊本の土地自体も知ることができたり、熊本のことを知るいい機会だった」
「いま世界に注目されているワンピースを通して、世界の人もたくさん熊本に来られるといい」
【熊本県観光文化部 脇 俊也 部長】「震災ミュージアムでも熱心に様々な学習をしてもらい、今回のツアーは取り組みとしては非常に大きかった。色々な観光や、震災の復興の姿が分かるスポットを組み合わせたものなど地元の経済効果を生み出せるようなツアーがたくさんできてくるといい」
『麦わらの一味』全員と会って被災地の今を見つめ、当時の記憶をより多くに人に伝える。
4月26日からスタートするツアーは、九州産交ツーリズムのホームページから予約できます。