アメリカのトランプ政権との関税交渉を巡り、政府内でアメリカ産のコメの輸入を拡大する案が浮上し、政府与党内で賛否の声が出ています。
政府は4月内に行われる見通しの閣僚協議で日本側の検討案をアメリカ側に示す見通しで、複数の政府関係者によると、アメリカ産のコメの輸入拡大を盛り込む案が浮上しています。
交渉を担当する赤沢経済再生相は、「コメについて色々と報道が出ているのは承知しているが、詳細、外交上のやりとりであるので恐縮ですけれども言及は差し控えたい」と明言を避けましたが、政府高官は「他に考えられるものがない」と説明するほか、政府内から「コメで対策をしないと交渉は終われない」との声も出ています。
具体的には、関税をかけずに輸入するミニマムアクセス枠の拡大が検討されていますが、江藤農水相は食料安全保障の観点から輸入拡大に慎重な考えを強調しました。
江藤農水相:
もし大量に主食であるコメを米国含めた海外に頼ると、日本のコメの国内生産が大幅に減少するのが、国益なのかは国民全体として考えていただきたい。
また自民党からは、夏の参議院選挙を前にコメ農家の反発を懸念する声が出ていて、森山幹事長ら自民・公明両党の幹部は「食料安全保障の確立を最大のテーマとして交渉に臨むべきだ」との方針で一致したほか、松山参院幹事長は「国内の農家の皆さんが安心してコメを作り続けられる体制をつくることは国の責務ですから、輸入米の拡大については極めて慎重な対応が必要だ」と述べました。
一方、小野寺政調会長は「今、ミニマムアクセス米で一定量が入っており、これを今後どう考えるかも一つの議論だ」と述べ、自民党農水族の一人も「コメの輸入はやったらいいと思う。この時代に参院選を前に農家がとか言ってる場合ではない」と語るなど、与党内で賛否両論が出ています。