富山市議会議員選挙には定数38に対し51人が出馬、新人が史上最多の票を集めトップ当選するなか、政治とカネの問題を抱える自民党にとっては厳しい選挙となりました。

今後の政界にどんな影響があるのでしょうか。

*無所属・新人 自民推薦 木地智美さん
「気象予報士の木地智美です。気象予報士ですので、きょうのお天気をお伝えします」

トップ当選を果たしたのは初めての選挙に臨んだ、気象予報士の木地智美さんです。

女性に対する偏見や政治のしがらみを吹き飛ばす新たな風を巻き起こしたいと立候補。

1児の母として子育て支援の充実を訴え、新市発足後、最多得票となる1万1310票を獲得しました。

*無所属・新人 自民推薦 木地智美さん
「市議会の場に新しい風を吹かせて皆さんの期待を無駄にしない皆さんの1票の価値を高められるようなそんな仕事をしたい。」

*国民 玉木雄一郎代表
「なかなか支持が増えないこの富山県で旗立てて頑張ってくれた一人」

去年秋の衆院選の追い風をそのままに大躍進したのが、国民民主党の橋本雅雄さんです。

今月16日には、玉木雄一郎代表が応援演説に駆け付け、多くの観衆を動員。

勢いに乗る国民民主党唯一の公認候補として前回の倍以上となる7000票余りを獲得しました。

自民の現職に逆風知名度のある新人や、国民民主党が支持を拡大する中で「逆風」の選挙戦を強いられたのが、自民党の現職です。

*自民・現職 高田重信さん
「しげじい(と書いている)。誰が着てもこれは似合う」

富山市連で幹事長を務める高田重信さん。

メジャーリーグで活躍する大谷翔平選手の人気にあやかろうとドジャースを思わせるパーカーを着用し支持を呼びかけていました。

自民党の逆風の要因となったのが政治とカネの問題に加え、富山市を地盤とする田畑裕明衆議院議員の不適切な党員登録です。

富山市連は、田畑議員を市議選に関与させないことを決めましたが、田畑議員が複数の事務所に檄文を送ったことで、各陣営は対応に頭を悩ませました。

*自民・現職 高田重信さん
「応援してもらえるから(檄文を)送ってもらえるのはうれしい。届いてうれしくない人から来た時の対応は考えなかったから。一般市民が全部が全部良しとするか。グレーゾーンの所があって、託された議員としては悩むところがある」

結果として、自民党は現職の4人が落選。高田さんは、2400票あまりを集め8期目の当選を果たしたものの、田畑議員の問題は少なからず影響したと振り返ります。

*自民・現職 高田重信さん
「完璧に解決していないというか、不審に思っている人はずっと不審のまま。どこかできちっと自民党が頑張れるようにしていかないと。」

政務活動費、元職の明暗明暗が分かれたのは、政務活動費の不正で辞職した元職の3人です。

*無所属・元職 村上和久さん
「この4年間、浪人、いや充電期間と言っておりますが」

4年前の市議選では次点で落選した村上和久さん。

その後、詐欺罪で執行猶予付きの有罪判決が確定しましたが、今回、当選を掴みました。

*無所属・元職 村上和久さん
「禊という感覚はない。前回の選挙の批判は十分に受け止めながら、その上で期待が大きいということを感じている。期待にしっかりと応えていきたい」

また、同じく、有罪判決を受けた市田龍一さんも当選しました。

一方、地元の反対を押し切り信を問いたいと立候補した藤井清則さんは落選。政治活動に区切りをつけると述べました。

*無所属・元職 藤井清則さん
「基本的には一区切りつけたという意識でいる」

「政務活動費の不正使用の影響はあったか?」
「戦っているときは思わなかったが、結果をみるとそういった要因があったと思う」

今回の市議選で当選したのは、現職30人、元職3人、新人5人の38人。

党派別では、自民が4議席減らし19人、公明は1議席増やし4人、立憲は3議席を死守。

国民、共産、参政、日本維新の会がそれぞれ1人、無所属が8人となっています。

自民党推薦の新人がトップ当選を果たした一方で、現職4人の落選。

専門家は自民王国・富山の有権者の意識に変化があると指摘します。

*拓殖大学 政経学部 河村和徳教授
「現職の落選の一つの背景というのは、富山1区での田畑議員の問題があるかもしれないが、それだけではなく、自民党の基盤になっている組織票が傷んでいる。傷んでいるので、女性で知名度があって、刷新感のある人に票が集まってしまう。自民党からすると、推薦の議員がトップを獲ったんだけれどもそれはかえって憂鬱で組織の指示にしたがって投票してくれない人が増えていることの象徴。国政で戦略を一つ間違えると、バタバタとくるかもしれない。それも野党側の候補者の刷新感、期待しようという雰囲気をつくられてしまうと、苦戦をするという選挙結果」

これに自民党、立憲民主党の県組織の幹部は。

*立憲民主党県連 菅沢裕明代表
「新しい候補者、国民民主党が大きく票を獲得した事の中に、新しい政治への期待や既存政党への批判が表れている。そういうことを踏まえた参院選への積極的な対応が急がれる。」

*自民党富山市連 中川忠昭支部長
「相当というよりかなり危機感を抱いている。自民党としての国民に分かりやすいスローガン、旗、何をするかということを明確に示してもらうことが非常に大事だと思う」

夏の参院選まで3カ月。

各党は市議選の結果を踏まえた戦略の見直しが迫られます。

富山市議選の投票率は市長選と同様過去最低となりました。

有権者にいかに主張をわかりやすく伝え政治に参画してもらうか、政治不信が深刻化するいま、大きな課題です。

富山テレビ
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