回転寿司ではなく、高級寿司店でもない。
寿司業界を変える新しい風とは。
東京の新宿や渋谷、汐留などに店舗を拡大し、急成長する“ある寿司店”。
月商7000万円を超える寿司事業を展開する蛎田一博さん。
実は、ビジネスで磨いた手腕を武器に、寿司業界に新たな風を吹き込んでいます。
なんと蛎田さんは、寿司店大将と人材紹介会社社長の二刀流!
狙うのは、回転寿司と高級寿司店の間を狙った“ニッチ市場”です。
業界の常識を変える寿司革命とは…。
東京・渋谷区にある寿司店「有楽町かきだ」、140席ある店内は常に満席。
多くの人の心をつかむ理由は、高級店の味を手軽に味わえることです。
高級寿司店なら2~3万円する天然本マグロや、最高級のウニなどを用意したコース料理を展開。
なんと、お値段は1万円~1万5000円ほどで、おかわりも自由です。
大将の蛎田さんが特に力を入れているのが、“回転寿司”の手軽さと“高級寿司店”ならではの味をいいとこ取りした新しいビジネスの展開です。
「有楽町かきだ」大将・蛎田一博さん:
単価3000~5000円ほどの回転寿司と、逆に3~5万円の高級寿司の二極化が進んでいる。1万5000円くらいで、うちみたいなお店は少ない。多くの人は回転寿司でおいしいし、高級寿司に踏み出すきっかけがないと思うんで、そのきっかけみたいなお店ができたらいい。全部のネタではないが、マグロやウニは2~3万円のお店と同じものを使っている。
ビジネスの視点で寿司業界を見つめ直すと、まだ誰も満たしていない顧客のニーズがあることに気が付いたと言います。
寿司店大将と人材紹介会社社長の二刀流・蛎田一博さん:
人材会社を経営しているので、採用したい企業のコンサルティングと転職したい個人のコンサルティングをして、マッチングする仕事。自分がどうしたいかより、お客さんがどれくらいのものを求めているのか、どれくらいの価格で求めているのか考えている。
高級素材を手頃な価格で提供できるのには理由が。
蛎田さんが早朝の豊洲市場に足を運び、目をつけたのは巨大な天然魚。
個人の高級寿司店では大きすぎて扱い切れない、チェーン店では天然魚は高級すぎる。
そんな巨大な天然魚を一本買いすることで、高級素材のコストダウンを実現したのです。
「有楽町かきだ」を訪れた客は、「めちゃくちゃおいしかったです。(高級のマグロは)何かお肉みたいな感じで幸せ」「ホタテがめっちゃおいしかった。全然、高いなという感覚はなかった。おなかもいっぱいになったし」と話しました。
元々釣りが趣味で、知り合いにも魚料理を振る舞っていた蛎田さん。
情報が簡単に手に入る時代になったこともあり、何と、握り・シャリの作り方はYouTubeやレシピサイトを参考に独学で習得。
修業0日でカウンターに立ちましたが、お客さんの前で握り続けたことで技術も向上してきたと言います。
「有楽町かきだ」大将・蛎田一博さん:
どういうふうにすれば魚がおいしくなるとか、どういうシャリと合わせればマッチするとか、どんどん分かるようになってきている。その理論が分かれば、10年修業しなくても。寿司だけ下積み期間が大事というイメージになりすぎている。
自身のノウハウも共有しながら、若手スタッフが短期間で寿司を握れるよう、定期的に研修・テストを実施しています。
若手スタッフ:
未経験です。お寿司が好きだったから。修業0日で、何でもトライできる環境があるのでいい。
活気あふれる雰囲気が店内に生まれるだけではなく、エンタメ性の高いパフォーマンスを取り入れることでリピート客も続出。
月商7000万円を超える寿司事業に成長しました。
今後は、ニューヨークでの出店を目指していきます。
「有楽町かきだ」大将・蛎田一博さん:
寿司だけは日本の文化。職人もどんどん減ってくる。一番楽しい握りの部分から教えて、すしの楽しさに気付く人が増えれば、職人を目指す人も増える。